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半導体不足で存在感を示す台湾TSMC
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●好調な台湾TSMC
2020年秋以降から続く、世界的な半導体不足により、半導体受託生産世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)の業績が好調だ。
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ロイター通信の報道などによると、2021年の第1四半期の純利益が1397億台湾ドル(約5000億円)と、前年同期比の約19.4%増となり、市場の予想を大きく上回った。
コロナ禍でのパソコン需要の増加に加え、車載向けの半導体不足によって、世界中の多くの自動車メーカー各社が生産停止を余儀なくさるなど、供給不足が顕著となっている。
供給不足解消には時間がかかると見られ、今後もTSMCの存在感は増すだろう。
●半導体盟主となったTSMC
TSMCのファウンドリー業界における世界シェアは50%を超えており、2位のサムスン(韓)を大きく引き離している。製造部門のみを担う世界最大のファウンドリーメーカーである。
アップル、NVIDIAなどの世界的な大企業から半導体製造を受託しており、かつて半導体の盟主だったIntelからその座を奪取しようとしている。
米国が中国と対立していることも、同じく中国と対立する台湾と利害関係が一致し、台湾企業であるTSMCを優遇することで中国をけん制する安全保障の側面もある。
●勢いはどこまで続くのか?懸念も?
米国アリゾナ州に工場増設を計画するなど、バイデン政権からの要請もあり、今後も製造能力を増強する方向である。
米国工場への進出は、建設費や人件費などの面での高コストが課題であり、台湾での製造による低コストでの製造という優位性が失われる危険性もある。
何よりも、台湾も含め、東アジアに一極集中しているというリスクを指摘する声もある。
さらにここにきて、抑え込みに成功していた新型コロナウイルスが台湾で急拡大していることや、13日に起きた大規模停電、中国との関係の地政学リスクなど、決して無視できない台湾国内問題もある。
もし、有事の際に台湾の製造が止まれば、さらなる半導体不足に世界中が陥るということも考えられる。ファウンドリーメーカーであることは、設備投資などのリスクも背負っている。
TSMC魏総裁は強気の姿勢で、「半導体不足は2022年まで続く」と述べている。半導体不足は一朝一夕には解決しない。思いもよらないリスクがあるかもしれないが、TSMCの1人勝ちは当面続くだろう。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)
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