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半導体不足が及ぼす自動車生産への影響
●半導体不足が世界的に
2020年秋以降、半導体不足が世界的に続いている。特に、車載向けの半導体が不足しており、世界中の自動車メーカーが減産を余儀なくされている。
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ロイター通信によると、データ会社HISマークイットは、世界の小型車100万台近くの生産に影響が出るとの見通しを示している。
2月18日に発表された米国の新規失業保険申請件数が悪化した要因には、半導体不足により、GMやフォードなど大手自動車メーカーが工場生産を一時閉鎖したことや、シフト削減したことが挙げられている。
●なぜ半導体不足に?
原因は新型コロナウイルスである。
昨年前半、新型コロナウイルスの発生に伴い世界中で自動車メーカーが減産となり、半導体メーカーも自動車向けの需要は減少すると見て、生産を調整していた。
その間に、テレワークの拡大によって、パソコンやスマホ、ゲーム機への需要が高まり、半導体の生産もそちらへシフトした。だが中国の自動車需要が急速に回復し、車載向けの半導体は生産が追い付かなくなったのだ。
EV(電気自動車)向けの自動車用パワー半導体の供給不足も出てきており、各国のカーボンニュートラルによるEVシフトによって、さらなる不足も懸念される。
●いつまで続くのか?
バイデン政権は自動車メーカーや部品会社に対処を求め、台湾積体電路製造(TSMC)にも協力を要請している。
格付け会社のフィッチも、トヨタやホンダの財務に大幅な影響を及ぼす可能性は低いと見ている。サプライヤーが自動車向けの生産を増やしているため、下半期には解消するという楽観的な見方もしている。
パソコンやゲーム機の需要は一時的だとしても、5Gスマホなどの需要はコロナ後も続く。自動車製造は用途が多岐にわたっており、より多くの半導体が必要となる
生産をTSMCに頼りすぎているとの批判もあるが、各国が自国である程度生産する体制を整えるのには時間がかかる。
半導体不足がコロナによる需要の急減と急回復という特殊要因だったとしても、今後も半導体に対する需要の変化により、新たな供給体制の構築が求められるだろう。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)
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