NASA、SpaceXの「Crew Dragon」に有人商用宇宙飛行の認可出す

2020年11月15日 15:42

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Crew-1ミッションで使用されるSpaceXのFalcon 9ロケット  (c) SpaceX

Crew-1ミッションで使用されるSpaceXのFalcon 9ロケット (c) SpaceX[写真拡大]

 米航空宇宙局(NASA)は11日、国際宇宙ステーション(ISS)との往来を可能にする初の有人商用宇宙飛行に関する認可を、SpaceXの宇宙船「Crew Dragon」に対して出した。

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■飛行準備のために数百の検証を実施

 NASAが認証した有人商用宇宙飛行のシステムには、Crew DragnだけでなくFalcon 9ロケットや関連する地上のシステムも含まれている。これにより宇宙飛行士をISSに定期的にフライトさせることが可能になる。

 有人商用宇宙飛行の認証に先駆けて、「Demo-2」と呼ばれる有人飛行試験がCrew Dragonにより実施された。民間のロケットとしては初めての有人宇宙飛行となり、宇宙飛行士2名を乗せた宇宙船を、ISSにドッキングさせることに成功。約2カ月のミッションを終え、8月2日には、無事にメキシコ湾に着水し地球へと帰還している。

 Demo-2ミッションの準備のために、NASAは数百の検証を行った。2016年から検証は開始され、パラシュートによる緊急時の避難や、電磁干渉などのチェックも項目には含まれていた。

 Crew Dragonによる最初のフライトである「Crew-1」ミッションは、11月14日にフロリダ州にあるケネディ宇宙センターから打ち上げられる予定だ。すでに乗組員は決定され、NASAの3人の宇宙飛行士に加え、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の野口聡一宇宙飛行士も含まれている。Crew-1ミッションは約6カ月を予定している。

■スペースシャトル初飛行から約40年

 ISSは、日本を含め米国や欧州など15カ国が参加する有人実験施設だ。地上から約400キロメートルの低軌道を1周約90分で移動し、地球や天体の観測を実施している。ISSには日本の実験棟「きぼう」も設置され、微小重力下での実証実験等が実施されている。

 ISSの完成は2011年であり、宇宙飛行士はロシアの宇宙船「ソユーズ」によって往来していた。米国の有人宇宙飛行はスペースシャトルによる2011年7月のフライトを最後に実施されてこなかった。SpaceXのCrew-1ミッションはスペースシャトルの初フライトから約40年を経ている。

 NASAは、定期的にCrew Dragonを打ち上げることで、ロシアに依存した有人宇宙飛行を断つとしている。(記事:角野未智・記事一覧を見る

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