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「ひらめき」のあるAI? AIが最も不得意とする分野に挑む横浜ゴム「HAICoLab」
「HAICoLab」の概念図(画像: 横浜ゴムの発表資料より)[写真拡大]
MONOist 『横浜ゴムがAI利活用構想を発表、未踏領域の知見探索にも挑む』によると、横浜ゴムが大変興味深いシステム「HAICoLab(ハイコラボ)」を発表した。❝AIが最も苦手とするデータの存在しない領域(未踏領域)❞に踏み込めるとしている。
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「潜在市場」を見つけることが、商品開発のMR(マーケットリサーチ)には最も重要だ。これまでの物流において「売上げアップ」を考えるとき、「顕在市場」ばかりに焦点をあてて「潜在市場」を探そうとしないリサーチがほとんどだった。
■「ポスレジのバカ」・「売れ筋を追うな」
あまり良くない言葉だが、これが最も多い間違いだ。コンビニなどでポスレジデータに基づいて「仕入れ」を考えたり、広告を考えたりしていることがほとんどだ。しかし、商品の持つ市場は、ポスレジデータに現れていない領域の方が大きいと考えるべきだ。つまり、「潜在市場」だ。
そのため、現状ではポスレジデータに基づいて「売れ筋」を追いかけて仕入れすることとなる。下手をすると、「売れ筋ではない商品」を仕入れることすらしない。「集中と選択」と称して「切り捨て」てコスト削減を図っているのだ。これにより、顕在化している市場ですら「今売れていない」として切り捨ててしまう。すると、市場の一部を切り捨てていることになるため、いずれ「じり貧」となってしまう。
「2割の商品で8割の売上げが立つ」と言われるのが、「小売」の世界だ。だから「在庫量」が多いほど売りやすくなるはずだが、仕入れを「売れ筋の2割に絞り込み」たくなる。そうすると、8割の商品が「見せ在庫」となって死んでしまうのだ。店舗内だけでなく、市場の8割を徐々に切り捨てていくこととなる。
この市場を徐々に切り捨ててしまう動きをしているのが「ゴルフ業界」、「プロ野球業界」、「デパート業界」だ。「自動車業界」も、近年(30年間ほど)は同様の動きだ。これであると、「潜在市場」を切り捨てているので、市場は徐々に縮小していってしまう。これを脱するのには、「営業努力」や「広告」が非常に大事だ。「潜在市場」を想定して「ストーリー」を持って働きかけていくことが決め手となる。
「市場は創り出す」ものなのだ。売れ筋ばかりを追っているのでは潜在市場が見つけられない。そこで、これまでのポスレジデータのようなデータではなく、市場予測を行う。そこで必要なことは、今回横浜ゴムが考えたAIのような、「ひらめき」にも似た市場を顕在化させる尺度だ。この尺度を見つけたとき「潜在市場の大きさ」に驚くことがほとんどだ。
「市場を測る尺度」を見つけるのがポイントだが、これをAIが自ら出来るとは考えられないのだ。そこで「人間の介在」が重要になる。どうも横浜ゴムの「HAICoLab(ハイコラボ)」は、データのない領域をAIに認識させるきっかけを人間が行い、「AIがシミュレーションデータを創り出す」ことを目指しているようだ。
■「ひらめき」のあるAI
コンピュータの特性として、データがある領域では大量データを高速に処理できる能力により「顕在市場分析」は得意と言える。かつて、「材料の歩留まり計算」をさせるのに、当時のスーパーコンピュータで1晩掛かる計算を、2割ほど人間が手伝うと数十秒で行うことが出来た経験がある。しかも、4kバイト程度のポケットコンピュータで行える結果だった。やはり、シミュレーションなどのときは人間の能力は計り知れず、AIが予測能力を持つことの難しさを考えてしまう。
横浜ゴムの「HAICoLab(ハイコラボ)」は、どの様な方法で予測能力をAIに与えるのか?あるいは、AIはやはり計算主体で「予測」は人間が行っているのか?大変興味が湧く。
MONOistによると、以下の4つの目標が掲げられている。
❝HAICoLabの具体的な目標は4つ挙げられている。1つ目は開発の効率化およびスピード向上の実現で、構造と材料の設計開発プロセスに活用する。2つ目は製品品質の安定の実現であり、生産プロセスの自動化や品質指標の安定化に活用していく。3つ目は、HAICoLabの構想ならではのひらめきやバイアス排除による、過去のデータから直接導き出せない新しい技術やソリューションの発見である。4つ目は、暗黙知や技術的なやりとりのデジタル化と共有化の実現になる。❞
この中で、3つ目の「ひらめきやバイアス排除」がポイントであろう。「ひらめき」のあるAIが実現すると、いよいよAI時代となるのだろう。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)
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