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彗星でオーロラを発見 米サウスウエスト研究所
彗星でオーロラが発生するメカニズム (c) ESA (spacecraft: ESA/ATG medialab)[写真拡大]
米国サウスウエスト研究所が主導する観測により、彗星でオーロラが見いだされたことが、9月21日にイギリスのネイチャーアストロノミーで明らかにされた。観測は、欧州宇宙機関(ESA)の探査機ロゼッタに搭載された複数の観測機器により行われた。
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オーロラは地球では北極付近あるいは南極付近の上空で見られ、太陽風が大気中の酸素原子や窒素原子を励起することによって生じる発光現象だが、チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星(67P)でも発生が確認されたというのである。
オーロラは大気が存在し、磁場を持った惑星や衛星でも存在が確認されているが、自転軸が大きく傾いている星では、その発生は北極付近や南極付近ではなく、自転軸方向で生じる。また海王星では、磁場の形が他の惑星とは異なるために、極地に限らず様々な場所でオーロラが発生する。だが彗星のような、大気も磁場も他の惑星や衛星のようには存在しえない天体でオーロラが見いだされた事実は驚きに値する。
彗星では氷があり、それが太陽に接近して気化すると、そのガスに太陽風が作用してオーロラが発生するという。そもそも彗星から発せられていた紫外線は、太陽から放出される光子が水蒸気ガスに作用して生じたものだと考えられてきたのだが、実は太陽風に含まれる電子が張本人であったというのが、今回の研究論文がもたらした結論である。
太陽風の電子は、彗星から生じた水蒸気ガスに含まれる気体原子を励起させ、紫外線を発生させる。これは地球で見られるオーロラと同じメカニズムによるものであったのだ。ただし、地球ではオーロラは肉眼で見ることができるが、彗星でのオーロラは紫外光であるため、残念ながら人間の目には見えない。火星でもオーロラの存在が確認されているが、やはり肉眼では見えない紫外光であるという。
太陽系で観測されるオーロラは、その星にあるガスの成分組成や磁場の存在形態によって発現の仕方が大きく異なるが、様々な場所でオーロラが観測できるという事実は非常に興味深い。また彗星には固有磁場が存在しておらず、そのような場所でもガスさえあればオーロラが見いだされるという事実にも驚かされる。
さらに、チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星(67P)におけるオーロラのデータを詳細に分析することで、太陽風を構成している粒子の時間的な変化も評価ができるので、太陽風によって時々刻々と変化する宇宙天気の理解にも役立つという。(記事:cedar3・記事一覧を見る)
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