3つのリングもつ三連星を発見 アルマ望遠鏡の観測で 国立天文台ら

2020年9月7日 17:17

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アルマ望遠鏡が捉えたオリオン座GW星を取り囲む3つのリング (c) ALMA (ESO/NAOJ/NRAO), Bi et al., NRAO/AUI/NSF, S. Dagnello

アルマ望遠鏡が捉えたオリオン座GW星を取り囲む3つのリング (c) ALMA (ESO/NAOJ/NRAO), Bi et al., NRAO/AUI/NSF, S. Dagnello[写真拡大]

 国立天文台は4日、若い三連星「オリオン座GW星」を、塵からなる3つのリングが取り囲んでいることを発見したと発表した。三連星から惑星が形成されるメカニズムの理解につながる発見だという。

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■惑星が見つかっていない三連星

 太陽は単独の恒星だが、宇宙全体でみたときこうした恒星は例外的だ。多くの恒星は主星と伴星からなる連星系を構成している。連星では恒星がお互いを回っており、われわれの住む天の川銀河では、星の過半数が連星系だという。

 太陽系にも地球や火星など周囲を公転する惑星が存在するように、連星系でも惑星が発見されている。だが、3つの恒星から構成される三連星からは、これまで惑星は発見されていない。

■惑星の材料となる塵の「リング」

 惑星は、「原始惑星系円盤」と呼ばれる、若い恒星を取り囲む塵やガスの「リング」から誕生する。そのため、若い三連星を囲む原始惑星系円盤を調べることは、三連星で惑星が形成されるメカニズムを理解するのに助けとなる。

 カナダ・ビクトリア大学、工学院大学、国立天文台などの研究者らから構成される国際グループは、地球から約1,300光年彼方にある若い三連星「オリオン座GW星」に着目した。A星とB星との距離は、地球と太陽との距離に近く、C星は2つの星から8倍ほど離れて回っている。

 研究グループは、国立天文台が運営するアルマ望遠鏡を使いオリオン座GW星を観測した結果、原始惑星系円盤は三連星の軌道の数倍から数十倍の直径をもつ、3つのリングから構成されていることが判明した。3つのリングは三連星の軌道面に対して大きく傾いていることも判明。とくに内側のリングはほかの2つのリングと比較して、大きく傾いているという。

■説明できない内側のリング

 この内側のリングの形成については、研究者間でなお疑問が残る。研究グループのシミュレーションでは、三連星の重力で内側のリングの大きな傾きを再現できなかった。だが別の研究グループは、三連星の重力だけで内側のリングの大きな傾きを説明できるとしている。

 疑問が残るものの、本研究の成果は、三連星がもつ複雑な環境から惑星が形成されるメカニズムを理解するのに役立つだろうとしている。

 研究の詳細は、米科学誌Scienceにて3日に掲載されている。(記事:角野未智・記事一覧を見る

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