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ジャワ原人の登場は従来考えられていたより遅かった 神戸大などの研究
インドネシア・サンギラン遺跡のジャワ原人の編年(写真:神戸大学の発表資料より)[写真拡大]
神戸大学は16日、インドネシア・サンギラン人類遺跡から出土したジャワ原人の化石について年代を推定した結果、従来説の150万年前よりも後の時代のものであることが判明したことを発表した。ジャワ原人が生息した年代に関する2つの説の対立が終息に向かうことが期待されるという。
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■ジャワ原人の起源の謎
約700万年前にアフリカ大陸で誕生したと考えられる人類が、どの時期にユーラシア大陸を経由し東方アジア地域へと進出したかや、人類集団の進化の経緯は研究者の関心を集める。特に、東方アジア最古級の人類化石として、インドネシアのジャワ原人は注目されている。
ジャワ原人の化石は、19世紀末に発見された。なかでも中部ジャワのサンギラン地域は、100点以上の人類化石が出土しており、ジャワ原人の化石のうち約8割を占める中心的な産地だ。同地域の人類化石の年代は、150万年前を超える説が広く受け入れられてきたが、150万年前までは遡らないと考える研究者も存在し、20年間対立してきたという。
■火山灰から人類化石年代を推定
国立科学博物館や神戸大学の研究者などから構成される国際共同研究グループは、火山から噴出された砕屑(さいせつ)物の層に含まれるケイ酸塩鉱物の一種、「ジルコン結晶」に注目した。異なる年代推定法を用いた結果、「グレンツバンク」と呼ばれる重要な鍵層の年代が90万年前、ジャワ原人化石が出土する可能性がある一番下の地層が約130万年前だと算出された。
サンギラン地域のジャワ原人は、一緒に出土する動物化石の違い等から前期と後期のグループに分類され、形態的にも大きく異なるという。2つのグループは、グレンツバンク層付近で分けられ、その時期が90万年前だと今回判明した。
この時期は、世界規模で寒冷化が起きた時期であり、海面の低下によりマレー半島からジャワ島、カリマンタン島にかけて広大な大陸が出現した時期と一致する。そのため、アジア大陸との動植物の交流が盛んになるなど、環境変化がジャワ原人の変遷の要因であったと示唆されるという。
170万年前に存在したと考えられるアフリカの初期のホモ・エレクトスと、前期グループのジャワ原人の形態が類似する点は、進化史における謎だった。今回、最古でも130万年前であると判明したことから、ホモ・エレクトスが特徴を保持しながらジャワ島に到達したことが示唆されるという。
研究の詳細は、米科学誌Scienceにて10日に掲載されている。(記事:角野未智・記事一覧を見る)
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