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海洋性ラン藻からのアスタキサンチン生産に成功 神戸大の研究
従来の二段階培養プロセス (上) と本研究の一段階培養プロセス (下)。(画像:神戸大学発表資料より)[写真拡大]
光と水と二酸化炭素から、アスタキサンチンを大量生産する技術が開発された。高い増殖能力を有する海洋性ラン藻Synechococcus sp. PCC 7002に遺伝子導入を実施して、その代謝を活性化させることによって実現したものだ。研究に当たったのは、神戸大学先端バイオ工学研究センターの蓮沼誠久教授の研究グループ。
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アスタキサンチンというのは1938年に発見された色素物質である。β-カロテンやリコピンなどと同じでカロテノイドの一種であり、またキサントフィルに分類される。名前はギリシャ語で「黄色い花」という意味なのだが、実際の色は赤い。
自然界において珍しいものではなく、例えばタイやサケが赤いのはアスタキサンチンのためである。ちなみに甲殻類の殻にも多く存在し、マダイやサケの仲間が赤くなるのはそれを常食しているためだ。
アスタキサンチンには高い抗酸化作用があり、紫外線や過酸化反応から生体を防御する機能を持っていると考えられる。その抗酸化力は、ビタミンCの約6000倍に及ぶと言い、その効果を期待してサプリメントやスキンケア用品として販売されてもいる。
人が用いるアスタキサンチンはほとんどが石油ベースで化学合成されたものである。だが、その生成過程で生まれる副生成物に問題があるため、天然アスタキサンチンの需要が増加している。1994年に、ヘマトコッカス藻を用いた天然アスタキサンチンの生産は実用化されてはいる。
だが従来の方法は、培養に時間がかかることと、雑菌汚染のリスクという問題があった。そこで今回の研究では、海水で育つラン藻を改良して用いることで、CO2だけをほぼ原料とするアスタキサンチンの生産に成功したのである。
研究の詳細は、ACS Synthetic Biologyに掲載されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)
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