NYの視点:米4月JOLT求人件数は高止まり、総失業者数を上回る、労働市場は依然ひっ迫

2019年6月11日 07:37

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記事提供元:フィスコ


*07:37JST NYの視点:米4月JOLT求人件数は高止まり、総失業者数を上回る、労働市場は依然ひっ迫
米労働省が発表した4月JOLT求人件数は744.9万件と3月から減少した。しかし、過去最高水準付近を維持。また、総失業者数を依然上回っており、その差は163万人と2000年の統計開始以降で最大となった。この結果は5月の非農業部門雇用者の減少は、失業率がほぼ50年来の低水準である中、企業が求める人材の確保が一段と困難になったことが原因だという考えを裏付けることになる。また、労働市場が依然、ひっ迫している証拠ともなる。同時に、トランプ政権による貿易政策への不透明感で企業が雇用や投資の決定を先送りしているほか、経済の景気先行き見通しの悪化で、今後、数カ月求人件数が減少する可能性は残る。労働市場が7日に発表した4月雇用統計で非農業部門雇用者数は7.5万人の伸びとなった。4カ月平均は2012年以来の低い伸びにとどまり、労働市場が抑制し始めた証拠だとの見解も見られる。

労働者の市場への自信をあらわすとして注目される同指数の退職率(Quits rate)は2.3%で2018年6月以降。経済の拡大期においての最高水準を維持。労働者が新たな職を見つけることに強い自信を持っていることが明らかになった。労働市場が依然ひっ迫していることはFRBによる利下げの論拠を弱めることになる。しかし、市場の金利先安感は根強く、米金利先物市場は7月の利下げを78%織り込んだ。

建設や教育、ヘルスケアでの雇用は過去最高を記録。製造業の求人は過去最高である50.1万件を維持している。一方で、プロフェッショナルやビジネスサービスでの雇用はほぼ1年ぶりの低水準に減少した。

■雇用たるみダッシュボード

◎危機前に比べ状態が改善 危機前の水準と比較
4月解雇率(Layoffs/discharges rate):1.2%(3月1.1%、昨年1.2%) 1.4%
5月失業率(Unemploynent rate):3.6%(4月3.6%)        5%
4月求人率(Job openings rate):4.7%(3月4.7%、昨年4.6% )    3%
4月退職率(Quits rate):2.3%(3月2.3%、昨年2.2%)      2.1%
5月広義の失業率(U-6):7.1%(4月7.3%)      8.8%
4月採用率(Hiring rate):3.9%(3月3.8%、昨年3.8%)      3.8%

◎状態が危機前より依然悪い
5月長期失業率:36.1%(4月35.7%、2018年35.5%)     19.1%
5月労働参加率:62.8%(4月62.8%)         66.1%
5月雇用者数(Nonfirm payrolls):前月比+7.5万人(4月+17.5万人) +16.18万人《CS》

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