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「またトラ」で気になる原油価格
●トランプ大統領返り咲きで気になる原油価格
ロイター通信によると、米シティは、米大統領選で勝利したドナルド・トランプ前大統領の政策や原油の供給増によって、原油価格に下落圧力がかかるとの予想を示した。北海ブレントが1バレル=60ドルまで下落すると予想している。
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大統領選の結果が出た11月6日以降は原油価格に大きな変動はなく、米WTI原油先物も1ドル=70~73ドルで推移している。
トランプ氏当選がまだ不確定だった今年2月から、一部では中国や欧州との貿易摩擦で世界貿易に大きな影響を及ぼし、それがトラック輸送などの需要減退につながるとの見方があった。
原油価格が60ドルまで下落することは、今後ありえるのだろうか?
●激変するエネルギー政策
トランプ氏は選挙期間中から石油を「掘って掘って掘りまくれ」と発言しており、民主党の気候変動対策を「新たなグリーン詐欺」と批判し続けてきた。
EV(電気自動車)の一連の販売促進政策の廃止を公約に掲げており、大統領就任早々に動く可能性もある。
公有の土地での掘削を厳しく制限してきたバイデン政権から一変し、「埋蔵されている液体の金(原油・ガス)をエネルギー開発のために開放する」と発言し、国内の石油産業優遇を示唆している。
ただ、これらの政策がインフレ抑制法(IRA)に矛盾するため、共和党の多くが反対しており、議会を通過するかは未知数ではある。
●他の産油国にも影響?思わぬ効果も!?
シティはOPECプラスにも影響を及ぼすことで、OPECプラスが減産幅を縮小するペースを早めるかもしれないと指摘している。
イスラエルと報復攻撃の応酬を繰り返しているイランも、イスラエルと良好な関係のトランプ氏の就任により、今後の軍事衝突に慎重な姿勢にならざるを得ないとの見方もある。
トランプ氏一人で世界経済にどこまでの影響を与えるかは未知数ではあるが、原油価格にとっては下落要因が多い。ただ、原油安はインフレを和らげるという効果もある。
トランプ氏の政策はインフレ圧力を高めるという批判が多いが、原油安によってインフレが鎮静化するという思わぬ効果となるかもしれない。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)
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