ヘルスケアアプリ「カロミル」が医療機関に初導入 疾病治療への貢献に期待

2019年5月18日 09:16

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病院用の食品栄養素集計画面。(画像:ライフログテクノロジーの発表資料より)

病院用の食品栄養素集計画面。(画像:ライフログテクノロジーの発表資料より)[写真拡大]

  • 解析後の食品登録画面
  • 患者用の食品登録履歴画面

 ヘルスケアアプリ「カロミル」を運営するライフログテクノロジー(東京都港区)は16日、独協大学埼玉医療センターにおける肝硬変患者の栄養治療の一環として、カロミルが5月から導入されることを発表した。また食事内容の記録が、肝硬変の治療に与える影響についての臨床研究が開始されることも併せて発表された。食事の記録が実際に疾病治療にどう役立つのか注目される。

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 カロミルは、料理の写真を撮影するだけでAIが画像から食事内容を解析、栄養素を自動的に算出して記録する機能を持つ。ライフログテクノロジーの棚橋繁行CEO自身がIgA腎症を患ったことから同社を設立、カロミルの開発を手掛けた。

 今回の導入ではiPadを使用する。カロミルをインストールし患者の情報を入力したiPadを同センターが貸し出し、患者はiPadのカメラで食事を1品ずつ撮影する。アプリを起動後、食べた量を入力し料理名などを登録。同センターでは、患者が入力・登録した内容から集計された栄養数値をもとに栄養指導が行われる。また今回の導入と並行して、消化器内科に通院する20歳以上の肝硬変患者を対象とした1年間の臨床研究も行われる。

 今回、独協大学埼玉医療センターがカロミルを導入した背景には、通院患者の食事管理の難しさがある。肝硬変治療では薬物療法と栄養治療が中心になる。入院患者の場合は厳密な食事管理が可能だが、在宅治療では栄養状況を医師や栄養士が詳細に把握することが困難だ。カロミルを導入することによりこうした課題を解決できるという。患者が食前・食後の服薬時に、手軽に使える点も導入の決め手になったようだ。

 同センター消化器内科の玉野正也教授は、「患者に合ったより丁寧な栄養指導が可能になり治療の効果が向上することに期待する」とコメントしている。

 ライフログテクノロジーは、これまでも一般向けのアプリだけでなく医療関係者向けの専用アプリも開発してきた。今後は病院や介護施設、学校・保育園、地方自治体、スポーツジムなど栄養指導や食事指導を行う施設や機関にも積極的に展開していくとしている。(記事:Kei_T・記事一覧を見る

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