ニチレイフーズ、鶏肉加工品のAIによる不良選別技術を開発

2019年3月8日 17:21

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上は誤検知を含んだ写真、下はAI選別技術による写真。必要な部分だけを的確に検知していることが分かる。(画像:ニチレイフーズ発表資料より)

上は誤検知を含んだ写真、下はAI選別技術による写真。必要な部分だけを的確に検知していることが分かる。(画像:ニチレイフーズ発表資料より)[写真拡大]

 鶏肉の加工品には「硬骨」が混じることがある。既存の技術では、X線検査器によって硬骨の混じった加工品を選別、廃棄していた。ニチレイフーズが今回新しく開発したのは、X線検査器よりもより正確に硬骨の混じった加工品を選別することのできる、AIによる選別技術である。

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 通常のX線検査器は、硬骨を見落とすということはほとんどない。だが不定形の商品に重なりが生じていた場合など、問題のない鶏肉に対して誤検出を生じることがある。このような場合、混入のリスクを避けるため、またコスト上の問題などもあって、良品である可能性のあるものも「廃棄」として処理されてきた。

 これに対し、今回開発されたAI選別プログラムはどのようなものであるかというと、機器メーカーの開発した検出プログラムをベースに、鶏肉加工品のX線検査器による撮影画像(ニチレイフーズは冷凍鶏肉加工品製造において国内最大手であるので、データは豊富に存在する)を膨大に学習させ、色の濃淡の情報などをもとに「硬骨が混入しているかどうか」を判断できるようにさせたものである。

 単純に商品を並べただけでは誤検知はさほど生じるわけではないため、あえて検出が難しいデータを用い、誤検知が発生しやすい状況を作ることで、よりプログラムの精度を高めるという工夫も行われた。

 今回のAI検出技術を導入すると、良品を誤って硬骨混入品と認識してしまうエラーは5分の1に低減し、製品廃棄率の削減でいうと約半分に抑えることができる、という。

 ニチレイフーズでは、今後も研究を続け、向こう3年をめどに、製品廃棄削減率80%を目指して開発を続けていくとのことである。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

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