スマホ撮影の新トレンド「ムービージェニック(動画映え)」とは?

2018年4月30日 12:02

印刷

 昨年2017年に「インスタ映え」が新語・流行語大賞になったが、写真や動画の見せ方に注目・工夫する人が増えているという。写真映えはもうすでに古く、2018年のスマホトレンドはさらに一歩進んでいるようだ。生活者の意識・実態に関する調査を行うトレンド総研は、スマホ操作に特に慣れているミレニアル世代を中心に「スマートフォン撮影事情」を調査している。

【こちらも】スマホ動画アプリの利用者数が急拡大、「AbemaTV」や「Netflix」が躍進

 最初にミレニアル世代とは何か?2000年以降に成人・社会人になる世代のことを指し、日本では主に現在20~28歳の世代を言う。新しい価値観を持ち社会に大きな影響を与えるジェネレーションとして注目度が高まっており、大きな特徴として、スマホ操作に慣れているという点が挙げられる。

 長年若者の生活実態について調査・研究している、マーケティングアナリストの原田曜平氏によると、 ミレニアル世代は、スマホのカメラ・ムービー機能を上手に使いこなす人が多いという。中学生くらいから自ら写真を撮影するだけでなく、SNSを通して、クオリティの高い写真に触れる機会も日常的にあり、これは、限られた回数、紙のカメラ雑誌を眺めていただけの、上の世代とはまったく異なると指摘。これまでの人生において写真に触れてきた数が、他世代と圧倒的に違うため、写真や動画に対する「センス」や「美的感覚」が非常に優れている傾向があると分析している。

 今回の調査では、ミレニアル世代の特徴をより一層浮き彫りにするため、20~50代の男女を、ミレニアル世代(20~28歳)、団塊ジュニア世代(44~47歳)、バブル世代(49~53歳)の3世代にわけ、それぞれの「スマホ撮影」事情を比較している。

 まずはスマホカメラ利用率を世代間で比較している。「普段からスマホカメラを利用している」人の割合を調査したところ、最も多かったのは、ミレニアル世代で約9割(89%)、続いて、バブル世代(79%)、団塊ジュニア世代(77%)となった。ミレニアル世代のスマホカメラの利用率の高さが浮き彫りとなった。また、「日常的にスマホで撮影した写真をSNSに投稿している」人の割合も、ミレニアル世代が約6割(59%)で最多となり、バブル世代(35%)、団塊ジュニア世代(26%)と続く。

では、各世代はどんなSNSに投稿しているのか?

●ミレニアル世代 
第1位:Instagram(66%)、 第2位:LINE(64%)、第 3位:Twitter(54%)

●団塊ジュニア世代 
第1位:LINE(60%)、第 2位:Facebook(40%)、 第3位:Instagram(30%)

●バブル世代 
第1位:LINE(65%)、第 2位:Facebook(47%)・Instagram(47%)

 団塊ジュニア以上の世代では「LINE」がトップであるのに対して、ミレニアル世代では「Instagram」が最多となっている。

 さらに「スマホカメラで動画を撮影する」人の割合も調査している。ミレニアル世代が88%で、団塊ジュニア世代(82%)、バブル世代(67%)の順となった。さらに、「1年前と比べて、動画を撮影する回数が増えた」人も、ミレニアル世代では42%にのぼっており、団塊ジュニア世代(9%)、バブル世代(15%)とは大きな差がついている。ミレニアル世代の4割超が、1年前と比べて「動画を撮影する回数」がアップしており、特にこの世代で「動画撮影」に対する興味関心が大きく高まっているようだ。

 そこで、ミレニアル世代の男女にどんな動画を撮影しているかを質問。すると「自然・風景の動画」(39%)、「ペットの動画」(30%)、「友人と会話しているときの動画」(29%)、「子ども・赤ちゃんの動画」(29%)などが上位となった。

 また、「自分が撮影した、または友人・知人が投稿していた動画で、印象に残っているもの」を聞くと、

●「友達と普通にしゃべっている様子を早送りした動画」(24歳)
●「イチゴに練乳をかけているところを逆再生にした動画」(28歳)
●「インコが走ってくる様子をスローモーションで撮影した動画」(23歳)
●「タイムラプス機能(コマ送り動画のように見える撮影機能)を使って撮影した動画」(25歳)などが挙がった。

 撮影するシーンの多くは日常生活の一部が多く、撮影した動画を編集や加工で「ムービージェニック(動画映え)」を意識するという人が多いようだ。さらにミレニアル世代に「ムービージェニック」な動画のための撮影&加工テクニック・今後やりたいことを聞いた。すると「動きのある被写体を選ぶ」(65%)、「あえて声や音が入るようにする」(39%)、「カメラにフィルターをかける」(39%)、「BGMや音楽にこだわる」(39%)、「スローモーション機能を利用する」(29%)の5項目が上位となった。

 ひと昔前であれば動画を撮影するには専門の機器が必要であったため動画編集を行う人は少なかった。動画の加工となればプロの出番という認識の人も多いだろう。だがしかし、スマホで誰もが簡単に動画を撮影できる時代になると、動画の仕上がりにもこだわりを持つ人が急増。最近は、動画用のフィルターを豊富にラインナップしたり、スーパースローモーションなどの機能が楽しめたりと、スマホカメラでできることも増えている。動画の魅力は、写真と違い「分かりやすさ・楽しさ」だ。また近年は動画マーケティングに力を入れている企業も実に多く、業種・分野を問わず利用を加速させている。2018年のスマホトレンドは、「フォトジェニック(写真映え)」よりも、「ムービージェニック(動画映え)」なのだ。(記事:久保圭大郎・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事