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文明が生み出す鉄エアロゾルが気候に影響、温暖化にも関与か 名大などの研究
産業革命前から現在に至る溶存鉄の沈着量の増大に対する人為起源鉄と鉱物性ダスト起源の鉄の重要性。(画像:名古屋大学発表資料より)[写真拡大]
エアロゾルとは、気体の中に微粒子が沢山浮かんだ物質を言う。物質の種類によって多様なエアロゾルがあるが、鉄(Fe)を含むものは鉄エアロゾルである。さて、この鉄エアロゾルは化石燃料の燃焼などの人類の文明活動によって多量に大気中に放出されるのであるが、これが様々な角度から気候に影響を及ぼすことが明らかになった。
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研究グループには、名古屋大学大学院環境学研究科の松井仁志助教、東京大学大学院理学系研究科の茂木信宏助教、アメリカ・コーネル大学のNatalie Mahowald教授らが名を連ねている。
簡単に説明すれば、鉄エアロゾルの海洋への吸着と、太陽放射の吸収が気候に影響を与えるという話なのであるが、ここでもう少し詳しく見ていこう。
そもそも地球の表面積の7割は海である。であるからして、CO2もその多くが、実は光合成によってではなく海洋によって吸収されており、大気環境の急激な変動を抑制させている。
ところが、鉄エアロゾルが海に溶け込むと、CO2吸収量に変化が生じ、地球規模の炭素循環に影響が及ぶことが示唆される。
このこと自体は既知の話であるのだが、今回、新しい測定法と新しいシミュレーション法によって、人為起源鉄の(人為に起源しない鉄ももちろん地球上に存在する)大気中量は、従来に見積もられていたよりも8倍ほど多いらしい、ということが分かったのである。
端的にいえば地球温暖化の原因の一つに、排出されるCO2そのものだけではなくそのサイクルシステムを変動させる阻害物質も関与していた、という話になる。これまでは自然起源の鉄の方が影響が大きいはずだと考えられていたのだが、どうもそうではないらしいのだ。
なお、研究の詳細は、英国のオンライン科学誌「Nature Communications」に掲載されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)
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