クレジットカードIC化、2017年末で77%に 20年100%は達成できる?

2018年3月2日 07:36

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 日本クレジット協会の発表によると、クレジットカードのIC化が2017年末時点で77.3%に達したことが分かった。100%IC化を達成した企業も84社と増えつつあるものの、当初の目標からは遅れていることも明らかになった。

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■クレジットカードのIC化率は77.3%

 2月28日、日本クレジット協会が「クレジットカードの不正利用防止対策とIC化の取組み状況について」発表した。これはクレジットカードの不正利用防止などを目的として、2020年3月末までにカードのIC(Integrated Circuit:集積回路)化率100%を目標に掲げて業界が取り組んでいるもので、協会に加盟する234社を対象に調査したもの。2017年12月末時点におけるクレジットカードのIC化率は77.3%。またICカード率100%を達成している加盟会社は234社中84社だった。

■増えるクレジットカード

 同協会の発表によると、クレジットカードの発行枚数は、2017年3月末時点で2億7,201万枚と、前年比2.3%の増加。調査開始の04年3月末時点の2億2,640万枚から、10年には2億7,405万枚まで増えたものの、その後は横ばい傾向となっている。ただし15年(2億5,890万枚、前年比-3.1%)から、16年(2億6,600万枚、前年比+2.7%)、17年と2年連続で増えており、18年も2%程度増加した場合(約2億7,745万枚)には、10年の最高枚数を超える可能性がありそうだ。

■不正はカード偽造から番号盗用に

 同協会の発表によると、クレジット不正被害額は2000年の308.7億円が過去最高。その内、偽造カードの被害額が140.2億円、その他の不正使用被害額が168.5億円だった。その後は注意喚起などが奏功したこともあり、2012年には68.1億円(偽造カード被害:24.1億円、その他被害44.0億円)までに減少した。

 もっとも、2016年は142.0億円、17年1月~9月の累計は176.8億円と、近年は再び増加する傾向にある。ただし偽造カード被害額は、17年1月~9月累計で25.8億円に留まり、16年累計の30.6億円から横ばいの様子。その一方で増えているのは番号盗用の被害で、17年1月~9月累計の被害額は130.3億円となり、16年累計の88.9億円から倍増しそうな勢いだ。

■2020年の100%に間に合うか?

 気になるのは、2020年IC化率の100%だ。実は、当初の目標として「2016年12月末までに80%」もあった。先に書いたように、2017年12月末時点で77.3%のため、1年遅れでも間に合っていないことになる。

 協会では、IC化100%を達成した84社中社名公表を希望する82社の会社名を公表している。例えば、メガバンクでは三菱東京UFJ銀行とりそな銀行の名前はあるものの、三井住友銀行とみずほ銀行が見当たらない。地銀大手はひと通り見つかるものの、「ここはまだかな」と思える地銀もあった。社名公表を希望していない84社中2社に含まれるのかもしれないが、もしICカード化が遅れているとすれば、早めに対応して欲しい。(記事:県田勢・記事一覧を見る

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