音楽は普遍の言語であることが証明される ハーバード大学の研究

2018年1月31日 08:15

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●過去に聞いたことのない音楽からも感じ取ることができる「感情」

 ハーバード大学の研究チームは、音楽が持つ普遍性について新たな研究結果を生物学専門雑誌「カレントバイオロジー」に発表した。音楽の非常に短い一節や、過去に触れたことがない文化に属する音楽からも、人間は音に内包された感情や表現を理解できる、というのが発表の主旨である。音楽は感情の伝達手段として普遍性を有する、という仮説を実証する研究結果として注目されている。

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●「音楽は国境を越える」は本当か

 歌詞を翻訳する必要のない音楽は、その作品によって引き起こされる感情が音楽の属する文化に依存することがない。そのため、国境や文化の壁を越えて共通の言語として通用する。

 この説は、これまでも多くの研究者が主張してきた。

 実際に実験を行い、この説の信憑性を証明したのがハーバード大学のサムエル・メール教授とその研究チームである。

 結果は、非常に異なる文化から生まれた短い音楽の一節からも、人間はそこに込められた感情を知覚することがわかった。

●60カ国の750人を対象に行った研究

 実験では、60カ国750人のインターネットユーザーに、14秒の音楽の一節をいくつか聞いてもらうという形で行われた。使用された音楽は、少数民族も含む86の文化から無作為に選択された。地理的にも文化的にも、広範囲が対象となっている。

 これらの音楽を聴いたあとに、参加した750人に6つの質問に答えてもらった。その6つの質問とは、聞いた音楽の一節が

・踊る
・赤ちゃんをあやす
・怪我を治癒させる
・愛の告白
・死の悲しみ
・歴史を語る

のいずれに相応しいか、ポイントをつけて答えるものである。

●未知の音楽に込められたメッセージを感知する

 集められたデータから、次のことが判明した。

 聞いた音楽が過去に触れたことのないものであっても、その曲が伝えようとしている本来の目的を大半の人は感知できる、ということである。

 つまり、音楽は背景にある文化に関係なく、人間にメッセージを伝える普遍的な性質を有するという仮説が証明されたことになる。

●人類の音楽に共通する「子守歌」と「舞曲」

 実験の結果で興味深いのは、「子守歌」と「踊るために作られた音楽」に関する項目であった。実験の参加者たちに共通していたのは、このふたつのタイプの音楽の意図するところを察知するのが非常に容易であったことだ。「子守歌」と「舞曲」は、相反する性質を有する音楽である。

 単調なリズムとメロディーが特徴の子守歌と、早いリズムと弾むようなメロディーが特徴の舞曲は、文化も国境も越えてその性質は変わらないことが浮き彫りになった。

●今後の研究のテーマとは

 ハーバード大学のメール教授は、今回の研究はまだ終わっていないと語る。今後は、属する社会の音楽以外は耳にしたことがない閉鎖されたコミュニティに生きてきた人々にも、実験に参加してもらう予定になっている。

 さらに、音楽の中に存在すると推測される表現と機能の関連を特定するために分析を続けるとしている。

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