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花を作る遺伝子の起源を推定、金沢大らの研究
コケ植物ヒメツリガネゴケのMADS-box遺伝子の働き。(画像:金沢大学発表資料より)[写真拡大]
金沢大学、東京工業大学、宮城大学などの研究グループは、花を付けないコケ植物ヒメツリガネゴケが持つ6つのMADS-box遺伝子を解析し、その機能を明らかにすることによって、花を作る遺伝子の起源についての推定を打ち立てた。
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植物の中には花を付けるものが多い。だが、これは進化史の上からいえば別に自明のことでもなんでもない。植物の最初の祖先にはもちろん花などなかったであろう。キリンの首がどうにかして伸びたのと同様、花も何らかの進化によって出現したものだと考えられるわけだが、既知の知見を言えば、花を付ける被子植物は、そうでない植物から進化してきた、というのがまず基本的な図式である。
花を付けない植物は、機構の性質上、受精に水を必要とする。これに関与するものがMADS-box遺伝子である。この遺伝子は花を作る遺伝子であるのだが、花を付けない植物もこれを持っている。それがどう機能しているか、ということを明らかにしたのが今回の研究である。
結論を言うと、MADS-box遺伝子は細胞分裂や毛細管現象を制御し、植物の生殖器への水輸送に関わっているということが明らかになった。
被子植物においては、乾燥に適応する進化のためと考えられるが、そうでない植物が持っている茎葉体および精子の鞭毛が退化・消滅している。進化の過程で、それらを司っていたMADS-box遺伝子が花の作成に関わるように変化していったのが花の始まりである可能性が高い、と今回の研究グループは見ている。
なお、このような進化の仕組みは、動物における進化の仕組みにはほぼ見ることができない。動物と植物とでは発生の機序がまったく違うからではあろうが、動物と植物の進化の違いについて、この研究は大きな示唆を与えるものである。
なお研究の詳細はNature Plants誌に掲載されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)
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