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ソニーが「TransferJet」普及にリトライ 改札のタッチレス化で試作機
TransferJetのロゴ(画像提供: TransferJetコンソーシアム)[写真拡大]
ICカードをかざして改札を通過することは今や日常的な行為だ。ソニーはそのICカードをかざすことなく、スマホを持っているだけで改札を通過するシステム構築に挑み始めた。
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同社は2008年に自社開発の無線技術としてTransferJetを発表し、「TransferJetコンソーシアム」を立ち上げて規格化したうえで、通信ICを製品化して家電での普及促進を図った。しかし、無線LANの普及期であったこともあり社会的な認知は進まなかった。今でも例えば東芝はスマホやパソコンにかざすだけで、動画や写真の高速転送が可能な対応アダプタ(iPhone/iPad/iPod対応)を販売しているが、一般的な商品とは言い難い状況にある。
ソニーは言わば眠った状態の技術を次世代仕様TransferJet Xへと革新し、BtoB分野での採用を目指し始めた。TransferJet Xの技術と独自のアンテナ技術を組合わせた新しい改札機、「タッチレスゲート」をJR東日本や日本無線と共同で試作した。このゲートを通る時は、TransferJet X対応のスマホを持っているだけで(改札機にかざすことなく)改札を通過できる。
この「タッチレスゲート」の上方には独自技術で開発した開口面が大きく高い平面アンテナを設置、地面に向かって指向性が高い電磁波を照射して「ゾーン」を形成する。利用者の端末がこのゾーンに入った瞬間にデータを送受信を行い、隣接するアンテナと間でクロストークすることなく通信できるという。
送受信データには特急券のデータや、グリーン車の予約した座席の案内の他、電子コンテンツなどの配信も想定されている。また、ソニーは改札機以外にも、コンビニ店舗の出入り口などへの設置も目論んでいる。
「タッチレスゲート」に目途を付けることと並行して、BtoB分野にTranferJet Xを普及させるための関門が、スマホに採用してもらうことである。そこでソニーセミコンダクタソリューションズと日本無線が参画する技術研究組合でTransferJet X対応の送受信回路を開発中であり、18年度に製品化する予定だ。
乗客が購入した切符に駅員が改札鋏で切り込みを入れる場所を「改札」と言うなんてことが、遥か彼方の昔話になってしまう時代が目の前に迫っているようだ。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る)
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