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知っているのに知らないIoT、それでも技術は進化し続けている
積み木のように積み重ねるだけで簡単に機能拡張が可能な、NextDrive社の「NextDrive Wi-SUN Cube」。その核となるWi-SUNモジュールの技術は、日本のローム社によるものだ。[写真拡大]
調査会社のIDC Japanが発表した、2016年の日本国内におけるIoT市場規模の見込み値は5兆270億円。今後、17%の年間平均成長率で拡大を続け、2021年には11兆237億円に達するとみている。とくに、農業分野や医療分野、小売店舗でのリコメンデーションなどの商業分野、スマートグリッドやホームオートメーションなどでは、年平均25%以上の高い成長率が期待できると予測しており、2020年の東京オリンピック開催に向けた景気の昂揚感なども手伝って、IoT関連の市場は益々注目が高まりそうだ。
ところが、ジャストシステムが20~69歳の男女2204名を対象に実施したインターネット調査「『IoT家電』に関する実態調査」によると、「IoT」という言葉の認知率は52.7%とかろうじて過半数を超えてはいるものの、「よく知っていて他の人にも説明ができる」と答えた人はわずか9.6%にとどまり、「知っているが、説明できるほどではない」が20.7%、「聞いたことはあるが、よく知らない」が22.4%と、内容まで把握している人は一割程度しかいないという結果が出ている。また、インターネット接続による不正アクセスや情報漏洩などのセキュリティ面での危険性を懸念する声も多く、IoT社会の本格的な普及のためには、国民個人レベルでの、IoTに対する正しい知識と理解が必要になってくるだろう。
とはいえ、IoT関連の技術は日進月歩で進歩している。
2月にビッグサイトで開催された「ENEX2017」(主催:一般財団法人省エネルギーセンター / 株式会社JTBコミュニケーションデザイン)では、展示企業282社、開催期間の3日間合計で5万3千名を超える来場者で賑わったが、ここでの主役もやはりIoTだった。
例えば、富士通のブースでは、超多点温度センシング技術を基盤に、取得した温度データをリアルタイムに分析することで、設備異常の予兆を早期に検知し、異常の発生を予兆段階で捉えることができるOperational Data Management & Analytics 予兆監視モデル for 光ファイバー温度測定技術や、VPP(仮想発電所)などの高度なエネルギー管理システムの実現要素技術として期待されるラストワンマイルネットワーク技術、ゲートウェイ技術、そして標準化対応技術の技術基盤上で動作するDRの実施イメージなど、エネルギー分野の更なるIoT化を実現するソリューション・先端技術が展示された。
また、NTTコムウェアは、エアコン、ガス給湯器、電気自動車充放電器など様々な住宅設備がインターネットとつながる「光BOX+(EMS版)(HEMS)を活用したIoTマンション&戸建住宅」をテーマに、すぐに導入できる実機の連携デモンストレーションを実施し、体感させることで来場者の理解を深めていた。
「ENEX2017」などの展示会以外でも、IoTに関する日本企業の話題は後を絶たない。
3月6日には、台湾のベンチャー企業、NextDrive株式会社が4月から日本市場向けに発売する世界最小クラスのIoTゲートウェイの最新モデル「NextDrive Wi-SUN Cube」に、日本のローム株式会社製のWi-SUNモジュール「BP35C0」を採用することを発表した。
同製品は、NextDrive社が展開する「NextDrive Energy Solution」の中心となる世界最小クラスのIoTゲートウェイで、国際無線通信規格「Wi-SUN」を使って、センサやカメラなどのアクセサリを連携させ、スマートメーターとのリアルタイム通信や電力自由化に伴うサービス、センサネットワークなどのIoT構築を容易に実現できるものだ。
小型・軽量なだけでなく、本体をそのままコンセントに差し込むだけで設置できる上、電気プラグ型アクセサリは、本体に対し積み木のように重ねるだけで機能を拡張できる。さらに設定は全てスマートフォンで行うため、誰でも簡単に扱える。これを可能にしたのが、業界トップクラスの受信感度を持つ、ラピスセミコンダクタ製無線通信LSI「ML7416N」を搭載した、ローム製のアンテナ外付け小型面実装Wi-SUNモジュール「BP35C0」だ。
蒸気機関の発明がきっかけとなった第1次産業革命。第2次の電気、第3次のコンピュータに継ぎ、IoTは第4次産業革命のトリガーともいわれている。IoT分野において、国内のみならず、世界の市場で日本がリードするためにも、そして個人レベルでは世の中の潮流に取り残されないためにも、今のうちにIoTについて理解を深めておきたいものだ。(編集担当:藤原伊織)
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