幸福とポジティブな出来事との遭遇の関係とは

2016年7月19日 10:43

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記事提供元:エコノミックニュース

幸せには、好きなものが得られた時などに経験する「幸せな気持ち(幸せ感情)」としての一時的な側面と、自分は幸せである、と比較的長期にわたり安定して認知される「幸福度」としての長期的な側面の2つの側面があることが知られており、幸福度が高い人は日常生活の中で幸せ感情を感じやすく、逆に日常生活において幸せ感情を多く経験すればするほど幸福度が上がっていくというように、幸せの2つの側面は相互に関連していることが分かっていた。

幸せには、好きなものが得られた時などに経験する「幸せな気持ち(幸せ感情)」としての一時的な側面と、自分は幸せである、と比較的長期にわたり安定して認知される「幸福度」としての長期的な側面の2つの側面があることが知られており、幸福度が高い人は日常生活の中で幸せ感情を感じやすく、逆に日常生活において幸せ感情を多く経験すればするほど幸福度が上がっていくというように、幸せの2つの側面は相互に関連していることが分かっていた。[写真拡大]

 幸せには、好きなものが得られた時などに経験する「幸せな気持ち(幸せ感情)」としての一時的な側面と、自分は幸せである、と比較的長期にわたり安定して認知される「幸福度」としての長期的な側面の2つの側面があることが知られており、幸福度が高い人は日常生活の中で幸せ感情を感じやすく、逆に日常生活において幸せ感情を多く経験すればするほど幸福度が上がっていくというように、幸せの2つの側面は相互に関連していることが分かっていた。しかしながら、なぜ2つの側面が関連するのか、その生理学的基盤はよく分かっていなかった。

 今回、自然科学研究機構 生理学研究所の定藤規弘教授、小池耕彦特任助教、中川恵理特任助教と愛知医科大学の松永昌宏講師らの共同研究グループは、磁気共鳴画像装置(MRI)を用いて、幸せに関連する脳領域を構造面・機能面から調べた。その結果、幸福度が高い人ほど内側前頭前野の一領域である吻側前部帯状回という脳領域の体積が大きく、その大きさはポジティブな出来事に直面した時の吻側前部帯状回の活性化と関連している(幸福度が高い人は、吻側前部帯状回が大きいために幸せ感情を感じやすい)ということが明らかとなった。

 研究グループは、幸せと脳との関連に注目した。今回の研究では、MRIを用いて、脳の構造的解析と機能的解析を組み合わせることで、これまでにない側面から脳と幸せとの関連を明らかにすることを試みた。MRI実験では、実験参加者にポジティブな出来事(好きな人に告白してOKをもらったなど)、ネガティブな出来事(好きな人に告白してフラれたなど)、感情的にニュートラルな出来事などをMRIの中で想像してもらい、ポジティブな出来事を想像している時に特に強く活動するとともに、幸せ感情喚起の程度と関連して活性化する脳領域があるかどうか、参加者の幸福度に対応して構造が変化する脳領域があるかどうか、などを調べた。

 実験の結果、幸福度が高い人(自分は幸せであると強く感じている人)ほど、内側前頭前野の一領域である吻側前部帯状回と呼ばれる脳領域の体積が大きいこと、ポジティブな出来事を想像している時に感じる幸せ感情の程度が高い人ほど吻側前部帯状回の活動が大きいこと、さらにポジティブな出来事を想像している時の吻側前部帯状回の活動はその場所の体積と相関していることなどが明らかとなった。

 このことは、幸福度が高い人ほど、ポジティブな出来事に直面した時に幸せ感情を感じやすいことを意味しており、その生理学的基盤が吻側前部帯状回の構造と機能との関連で説明できることを示しているという。

 定藤教授は、「幸福感には、自分は幸福であるという持続的な肯定的評価(持続的な幸福)と、ポジティブな出来事に直面した時に発生する一時的な肯定的感情(一時的な幸福)という二面性があり、これらはお互いを強化しあう関係がある。幸福の二側面が共通の神経基盤を持ち、持続的な幸福はその体積に、一時的な幸福はポジティブな出来事を想起している最中の神経活動に関係している。脳は筋肉と同じように、鍛えるほど特定の脳領域の体積が大きくなることが分かっている。今回の結果は、楽しい過去の記憶の想起や、明るい未来を想像するといったトレーニングにより、持続的な幸福が増強する可能性を示したものといえる。」と話しているという。(編集担当:慶尾六郎)

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