歯のエナメル質を制御するメカニズムを解明―東北大

2016年4月4日 11:03

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記事提供元:エコノミックニュース

 東北大学などの研究グループは、歯のエナメル質の厚さを制御するメカニズムを明らかにした。GDF5という骨形成因子がエナメル質の形成に関与し、その厚さを制御していることを見いだしたのは初めてという。GDF5を用いてエナメル質形成を促進することで歯の厚みを制御することが可能となり、歯の再生の実現に向け重要な一歩と位置付けられている。

 歯の再生についてはiPS細胞などの幹細胞を用いた再生研究が進み、マウスなどの小型動物では可能になっているが、ヒトの歯はマウスと比べて大きいことや永久歯の形成には10年近くかかることが課題だった。再生医療の実用化には特に時間短縮が重要な課題となったため、増殖因子などを用いた歯胚形成の促進化が検討されてきた。

 骨を形成する増殖因子の1つであるBMP(Bone morphogenic protein)ファミリーは現在15種類ほど発見されており、特にBMP2やBMP4は歯の形成にも関与することは着目されてきた。研究グループではこれとは別に、14番目のBMPファミリーであるBMP14/Growth differentiation factor5(GDF5)に着目し解析した。

 歯の形成過程におけるGDF5の発現を調べたところ、発現部位はこれまでの研究で明らかだった歯周靭帯部だけではなく、エナメル質を作るエナメル芽細胞にも認められた。GDF5が歯の上皮系細胞に発現していることはこれまで報告されていなかった。

 さらに、GDF5の歯胚発生過程における役割を明らかにする目的で、GDF5に遺伝子異常のあるマウスの歯の形態を解析したところ、エナメル質が肥厚して歯全体が一回り大きくなっていることが分かった。これにより、GDF5の変異が、エナメル質形成を促進されることが分かったという。

 研究グループは「歯のエナメル質形成のメカニズム解明や、歯の再生における歯のサイズや作成時間短縮などの問題を解決する糸口になることが期待される」とコメントしている。(編集担当:城西泰)

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