ロシアの新型宇宙船「PTK NP」、2021年の無人試験機打ち上げを目指す=露宇宙庁

2015年8月10日 12:41

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記事提供元:sorae.jp

ロシアの新型宇宙船「PTK NP」、2021年の無人試験機打ち上げを目指す=露宇宙庁(Image Credit: Roskosmos)

ロシアの新型宇宙船「PTK NP」、2021年の無人試験機打ち上げを目指す=露宇宙庁(Image Credit: Roskosmos)[写真拡大]

 ロシア連邦宇宙庁(ロスコスモス)は8月6日、公式facebookページにおいて、新型宇宙船の無人での初飛行を、2021年に実施する予定であると明らかにした。

 打ち上げ場所は、現在ロシア極東で建設が進められているヴァストーチュヌィ宇宙基地で、新型の「アンガラA5V」ロケットで打ち上げるという。打ち上げ後、宇宙船は地球低軌道に投入され、試験が実施される。この発表に先立ち、ロスコスモスの科学・技術会議において、2021年の初打ち上げに向けて、開発を次の段階に移行することが承認されたという。

 以前、初飛行は2018年に実施するとされていたが、ロシアのメディアなどは昨年以来、「2021年に延期された」と報じており、それが裏付けられた形となる。

 この新型宇宙船は「PTK NP」と呼ばれている。ロシア語で「次世代有人輸送船」を意味する「Пилотируемый Транспортный Корабль Нового Поколения」の頭文字から採られている。開発、製造は、現在ソユーズ宇宙船を製造している、RKKエネールギヤ社が担当する。

 現時点でわかっている情報では、打ち上げ時の質量は20トンで、最大で4人まで乗ることができる。単独での飛行可能期間は21日間、また宇宙ステーションなどとドッキングした場合には180日間にわたって宇宙で運用し続けることができるという。

 船体は、宇宙飛行士が搭乗する「帰還モジュール」と、太陽電池パドルやロケット・エンジンなどが収められた「機械モジュール」から構成されている。帰還モジュールはパラシュートと固体ロケットを持ち、帰還時にはまずパラシュートで減速したのち、高度10mから15m付近でロケットに点火し、現在のソユーズよりもゆるやかに、かつ正確な位置に着陸することができるという。それにより、帰還船は3回から10回までの再使用が可能だとされる。

 打ち上げ機には、有人宇宙船打ち上げ専用のアンガラA5Vが使われる。アンガラは第1段の装着基数によって打ち上げ能力を変えることができるが、アンガラA5Vは第1段を4基もつアンガラA5を、有人宇宙船打ち上げ用に改修した機体である。アンガラはこれまでに2機が試験飛行しており、そのうちアンガラA5も1機が打ち上げられ、成功している。

 打ち上げ場所はヴァストーチュヌィ宇宙基地のみとなる。アンガラの発射台はプレセーツク宇宙基地にもあるが、有人打ち上げ用の施設がなく、バイコヌール宇宙基地にはアンガラの発射台は建設されないためである。また現在、ソユーズはカザフスタン領内に着陸しているが、PTK NPはロシア領内に着陸することが計画されている。打ち上げから着陸までロシア国内で完結できるため、カザフスタンへの依存を断ち切れることになる。

 2021年の無人での飛行が成功すれば、2024年にも有人での打ち上げが行われる予定となっている。目的地は、ロシアの有人宇宙計画の将来がまだ不透明なため決まってはいないが、国際宇宙ステーションやその後継となる宇宙ステーション、また月や火星などへの飛行が考えられるという。

 また今月25日から30日にかけてモスクワ近郊で開催される、第12回国際航空ショー「MAKS-2015」で、帰還モジュールの実物大模型が展示されるという。

■Первый испытательный беспилотный полет нового... - Федеральное космическое агентство
https://www.facebook.com/Roscosmos/posts/1638406219747392

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