“強化型”イプシロン・ロケット、開発順調 2016年度打ち上げ

2015年8月10日 12:44

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記事提供元:sorae.jp

“強化型”イプシロン・ロケット、開発順調 2016年度打ち上げ(Image Credit: JAXA)

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 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は8月6日、強化型の「イプシロン」ロケットの開発状況について明らかにした。

 イプシロンはJAXAが開発した小型の固体ロケットで、第1段に「H-IIA」ロケットの固体ロケット・ブースター(SRB-A)を使い、第2段と第3段には「M-V」ロケットで使用されたロケット・モーターを改良して用いるなど、既製品を流用することで低コスト化が図られている。またその一方で、人工知能によるロケットの自己診断機能や、少人数で打ち上げ管制ができるシステムなど、新しい技術も使われており、低コストながら高い性能をもつロケットの実現を目指している。

 開発は2010年から始まり、2013年9月14日に惑星分光観測衛星「ひさき」(SPRINT-A)を載せた試験機の打ち上げに成功した。

 しかし、試験機の打ち上げ能力では、その次に打ち上げを予定してた「ジオスペース探査衛星」(ERG)を打ち上げることができないことが判明したため、2012年から打ち上げ能力の向上を目指した「イプシロン2号機対応開発」が始まった。

 その一方で、小型地球観測衛星「ASNARO-2」などの小型衛星の打ち上げ需要に対応するため、2014年からは打ち上げ能力の向上や、衛星フェアリング内の容積を増やすことなどを目的とた「イプシロン高度化開発」も始まった。

 そしてその後、ジオスペース探査衛星の開発の遅れにより打ち上げ時期が見直され、またそれに伴い、さらに高い打ち上げ能力が要求されたことから、それに対応するため、高度化開発もイプシロンの2号機から適用されることとなった。そこで2号機対応開発と高度化開発を合わせ、「強化型イプシロン・ロケット・プロジェクト」という一つのプロジェクトとして設定されることとなった。

 今回の発表では、2015年3月末に上段のサブサイズ・モーターの地上燃焼試験が実施され、計画どおり終了し、また6月18日にはJAXA相模原キャンパス(神奈川県相模原市)で衛星分離試験が行なわれ、分離時に発生する衝撃や衛星分離挙動が確かめられたことなどが明らかにされた。

 開発が順調に進めば、2016年度にジオスペース探査衛星を搭載した強化型イプシロンが打ち上げられる予定となっている。

■開発が進む強化型イプシロンロケット
http://www.jaxa.jp/projects/rockets/epsilon/topics_j.html

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