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日本人児童の顔認知は13歳程度で成熟―人種で相違がある可能性
自然科学研究機構の柿木隆介教授・三木研作助教は、日本人学童における顔認知発達の過程を詳細に解明することに成功した。
顔認知は、言語認知と並んで、社会生活をするうえで最も重要な機能と考えられている。しかし、顔認知の発達過程に関する詳細な研究は、カナダのトロント大学が西洋人学童を対象として行った報告があるだけで、アジア人を対象としたものはなかった。
今回の研究では、8歳~13歳の計82人の被験者を対象として、正立した顔、倒立した顔、目だけの画像を見てもらい、顔認知に特異的なN170という脳波成分を計測した。その結果、8~10歳では、顔(正立ならびに倒立した顔)に比べ、目に対するN170が有意に大きくなっていることが分かった。また、13歳になると、8~12歳よりも、正立した顔を見た時のN170の反応時間が、他の条件に比べ早くなることが明らかになった。
これらの結果から、10歳までは、「目」に対して特別な認知が行われていると考えられる。13歳になると、成人と同様の脳活動を示しており、成人と同様に、正立した顔に対して特異的な認知がされている可能性がある。また、西洋人を対象とした先行研究では、顔の認知処理過程がほぼ14才程度で成熟すると考えられることから、人種によって顔認知の発達過程が異なる可能性がある。
三木助教は「今回の研究で、日本人学童の顔認知発達過程が初めてわかりました。自閉症スペクトラム障害児では、顔認知(表情の理解など)が困難であると考えられています。健常児童の結果との比較により、自閉症児の顔認知異常の病態の解明や、援助に対しての応用が期待できます」とコメントしている。
なお、この内容は「Frontiers in Human Neuroscience」に掲載される。論文タイトルは、「Differential age-related changes in N170 responses to upright faces, inverted faces, and eyes in Japanese children」。
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