ロコット・ロケット、通信衛星「ガニェーツM」3機の打ち上げに成功 未知の衛星も搭載か

2015年4月2日 21:33

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記事提供元:sorae.jp

ロコット・ロケット、通信衛星「ガニェーツM」3機の打ち上げに成功 未知の衛星も搭載か(Image credit: Ministry of Defence of the Russian Federation)

ロコット・ロケット、通信衛星「ガニェーツM」3機の打ち上げに成功 未知の衛星も搭載か(Image credit: Ministry of Defence of the Russian Federation)[写真拡大]

 ロシア航空宇宙防衛部隊は3月31日、通信衛星「ガニェーツM」を3機搭載した、ロコット(ローカト)/ブリーズKMロケットの打ち上げに成功した。また、秘密裏に4機目の衛星が搭載されていた可能性もある。

 ロコットはモスクワ時間2015年3月31日16時51分(日本時間2015年3月31日時43分)、ロシア北西部にあるプレセーツク宇宙基地の133/3発射台から離昇した。その後、ロシア航空宇宙防衛部隊やロシア国営メディアなどは、打ち上げは成功したと発表した。また米軍の宇宙監視ネットワークも軌道上に衛星が追加されたことを確認しており、打ち上げの成功が裏付けられている。

 ガニェーツMは、軍用の通信衛星ストレラー(ラドニーク)から派生した民間向けの通信衛星で、ガニェーツMが衛星名、ガニェーツD1Mがシステムの名前として呼ばれている。ちなみに、ガニェーツとは「配達人」、「メッセンジャー」といった意味だ。

 ガニェーツD1Mは主に地上の通信サーヴィスが行き届いていない地域を対象に通信サーヴィスを提供する。方式としてはストア&フォワードと呼ばれる、発信者から送信されたデータを一旦衛星内で保管し、受信者のアンテナの可視範囲に差し掛かった際にデータを降ろすという運用が行われる。

 打ち上げ時の質量は280kgで、設計寿命は5年が予定されている。ガニェーツMは高度1,350km、傾斜角82.5度の軌道に計12機の衛星を、2つの軌道面に分けて配備される。衛星を製造したISSレシェトニェーフ社によれば、今回の打ち上げにより軌道上の衛星数は12機になり、完全なサーヴィスが提供できるようになったという。

 なお、米軍の宇宙監視ネットワークは、現在までに5つの物体が軌道に乗ったことを確認している。3つはガニェーツM、もう1つはロケットの上段「ブリーズKM」で、最後のもう1つは何らかのデブリか、あるいは秘密裏に搭載されていた謎の人工衛星ということになる。

 かつて、ロコットを使った衛星の打ち上げでは、確認されているだけでも2回、今回同様に未知の物体が軌道に入っている。ロコットの打ち上げ能力からして、その物体の質量は50kgほどと思われる。さらにその物体は電波を発信しており、また上段のブリーズKMに対して近付いたり離れたりする動きを見せているなど、何らかの意図を持って運用されている人工衛星であることは間違いない。しかしロシアが何の目的でこの衛星を運用しているのか、またその姿かたちや性能などについては一切明らかにされていない。

 ロコットは大陸間弾道ミサイルのUR-100N UTTHを基に、衛星打ち上げ機として開発されたロケットである。今日までに弾道飛行の試験を含めると26機が打ち上げられ、そのうち衛星を予定の軌道に投入できなかったなどの明確な失敗を2回起こしている。また2013年1月の打ち上げでは、衛星分離後に実施される第3段の軌道離脱噴射ができないという問題も起こした。

■Подразделения войск ВКО провели успешный пуск ракеты-носителя «Рокот» с космодрома Плесецк : Министерство обороны Российской Федерации
http://structure.mil.ru/structure/forces/cosmic/news/more.htm?id=12012849@egNews

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