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岡山大、関節軟骨の再生を誘導するステロイドホルモンを発見
今回の研究成果の応用のイメージ(岡山大学の発表資料より)[写真拡大]
岡山大学のエミリオ・ハラ研究員と窪木拓男教授らによる研究グループは、グルココルチコイドの一種であるフルオシノロンアセトニドに、強力な軟骨細胞分化誘導能があることを発見した。
変形性関節症罹患は、関節の炎症、痛み、可動域の制限などにより日常生活の質(QOL)を大きく低下させる疾患で、日本国内の患者数は1000万人を超えている。骨は骨折しても再生するが、関節軟骨は血管が乏しい組織であり、傷を受け欠損すると元通りには治癒しないという課題があった。
今回の研究では、米国FDAに承認されている薬剤の中から、軟骨細胞分化促進能を有する薬剤を網羅的に探索し、グルココルチコイドの一つであるフルオシノロンアセトニド(FA)が強力に軟骨細胞分化を促進することを発見した。
ヒト骨髄由来間葉系幹細胞を高密度培養し、軟骨基質合成に与える影響を検討したところ、FAは骨髄由来間葉系幹細胞を軟骨細胞に分化させる誘導因子として知られるTGF-β3と一緒に刺激することで、軟骨基質合成を著明に促進することが明らかになった。
実際に、マウスの膝関節に軟骨全層欠損を作製し、FAとTGF-β3を用いて軟骨細胞へ分化誘導したhBMSCsを関節軟骨欠損部に移植したところ、欠損部にII型コラーゲン陽性の軟骨組織が再生されている像が確認できた。
今後は、本研究成果が、幹細胞(骨髄由来間葉系幹細胞やiPS細胞)を用いた関節軟骨再生治療の新たな基盤技術になると期待されている。
なお、この内容は「Journal of Bone and Mineral Research」に掲載された。
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