Mars Oneの最終候補者、プロジェクトの大きな欠陥を語る

2015年3月20日 16:33

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記事提供元:スラド

headless 曰く、 人類の火星への移住を目指す「Mars One」プロジェクトに大きな欠陥があることを、最終候補100名に残った元NASAの研究者で英トリニティーカレッジ助教のJoseph Roche博士が語っている(MediumAFPBBWIREDSlashdot)。

 プロジェクトへの応募者は20万名と報じられているが実際には2,761名のみで、初期選抜は応募者が提出した資料とSkypeでの10分間の通話でのみ行われたという。Roche氏は現在までMars Oneの関係者に一度も会ったことがなく、Roche氏が知る限り他の候補者の中にもMars One関係者に直接会ったことのある人はいないそうだ。選抜された候補者が選考の各ラウンドを通過するにはポイントを獲得する必要がある。ただし、より多くのポイントを獲得するにはTシャツやパーカー、ポスターといった商品を購入するか、Mars Oneに寄付をするしかない。そのため、最終候補者リストの上位の候補者の中には金でランキングを買ったような人も多いという。

 Mediumの記事では昨年11月にMars Oneの問題点を指摘しているが、今ではさまざまな問題点が報じられるようになっている。Mars Oneではテレビのリアリティー番組での収入をあてにしていたが、テレビ制作会社のEndemolはプロジェクトから手を引いている。また、2月には以前プロジェクトのアドバイザーに名を連ねていたノーベル物理学賞受賞者で理論物理学者のGerard't Hooft氏が、10年単位での火星移住計画は現実的でなく、100年単位で考えるべきとの見解を示した。

 現実の問題として、Mars Oneには資金がなく、航空宇宙サプライヤー企業とも契約しておらず、候補者が訓練するための施設についての計画もない。Roche氏が最悪の事態と考えるのは、このまま人々がプロジェクトをサポートし続け、金や注目を与えた末にプロジェクトの大失敗が待ち受けていることだという。これは宇宙科学に人々の注目を集めることを望んでプロジェクトに応募したRoche氏の考えとは対極に位置するものとのことだ。

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