理研、新星爆発によって高温プラズマが拡散する様子を観測

2015年3月17日 16:11

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左:ペルセウス座全体の写真。赤丸がペルセウス座GK。可視光(撮影:デジタルスカイサーベイ)。右:ペルセウス座GKの拡大写真。茶色が可視光(撮影:ハッブル宇宙望遠鏡)、マゼンタが電波(撮影:超大型干渉電波望遠鏡群)、青がX線(撮影:チャンドラX線観測衛星)の強度分布をそれぞれ示す。3つの望遠鏡で撮影した画像を重ね合わせている(理化学研究所の発表資料より)

左:ペルセウス座全体の写真。赤丸がペルセウス座GK。可視光(撮影:デジタルスカイサーベイ)。右:ペルセウス座GKの拡大写真。茶色が可視光(撮影:ハッブル宇宙望遠鏡)、マゼンタが電波(撮影:超大型干渉電波望遠鏡群)、青がX線(撮影:チャンドラX線観測衛星)の強度分布をそれぞれ示す。3つの望遠鏡で撮影した画像を重ね合わせている(理化学研究所の発表資料より)[写真拡大]

 理化学研究所の武井大基礎科学特別研究員らによる研究グループは、新星爆発の衝撃波によって加熱された高温プラズマが宇宙で拡散する様子を初めて捉えることに成功した。

 新星は超新星に比べると小型の核爆発で、表面に堆積したガスを数十年から数万年程度の周期で吹き飛ばし、言わば溜めたストレスを爆発で定期的に発散させている。超新星と新星は異なる現象ではあるが、爆風によって生じる衝撃波の振る舞いは1つの理論で説明できると考えられてきた。しかし、新星の場合は規模が小さいため爆風による痕跡の観測が難しく、鮮明なX線写真が撮影できる天体は現時点で数例しかなかった。

 今回の研究では、1901年に新星爆発を起こした「ペルセウス座GK」に着目し、チャンドラX線観測衛星に搭載されたX線望遠鏡で観測を行ったところ、世界で初めて衝撃波で過熱された高温プラズマが広がる様子を捉えることに成功した。また、2000年に撮影された写真を比較したところ、X線の放射領域が14年間で0.01光年(約900億km)ほど広がっていることや、爆風の速度が秒速300km程度であることが分かった。

 今後は、新星が宇宙に及ぼす影響の理解がさらに進むと期待されている。

 なお、この内容は「The Astrophysical Journal」オンライン版に掲載された。

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