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国内の電子書籍出版配信数は昨年18%増 自己出版のサービスも拡大
2014年12月に電子書籍サイトhon.jpが発表した日本国内の電子書籍・雑誌の年間配信数は72万点で、前年比18%増となった。電子書籍の市場は、ここ数年ゆるやかながらも確実に拡大しており16年には配信数100万点を突破すると同サイトは予想している。[写真拡大]
2014年12月に電子書籍サイトhon.jpが発表した日本国内の電子書籍・雑誌の年間配信数は72万点で、前年比18%増となった。電子書籍の市場は、ここ数年ゆるやかながらも確実に拡大しており16年には配信数100万点を突破すると同サイトは予想している。
電子書籍サイトBookLiveの調査によると、電子書籍利用者の91%が紙の本と電子書籍を併用し、14.5%は電子書籍の方をより多く読んでいるという。電子書籍の長所としては「手軽さ」と「省スペース」が多く挙げられた。読まれるジャンルは、漫画が68%とトップだったが、小説50%、趣味・実用書42%、ビジネス書29%と、そこまで大きな偏りはないようだ。こうしたデータからも、ユーザーは「紙か電子か」といった細かいことは気にせず、柔軟にその時に合わせて使い分けていることが分かる。スマートフォンやタブレットの普及に合わせて、その選択肢が広がり、電子書籍市場も拡大してきたと言えるだろう。
利用するデバイスはスマートフォンが多く、そうした点からも「紙書籍か、電子書籍か」という対立ではなく、アプリゲームやインターネットサイトでの情報といった、他の娯楽に勝る面白さや便利さを提供できるかが、電子書籍を含めた出版界の変わらぬ課題だと言えるだろう。
また、最近では誰でも簡単に電子書籍が出版できるサービスも増えてきている。大手インターネット通販・アマゾンはすでにそうしたサービスが行っていたが、昨年末には楽天〈4755〉も同様のサイトを立ち上げた。こうした「セルフ・パブリッシング(自己出版)」のサービスは、出版社や取次会社を通さないため、誰でも自由に作品を発表できることが強みとなっている。
特に専門書の分野などでは、新しい研究や技術開発についての書籍を紙媒体よりもいち早く出版することができたり、研究の進捗に合わせ内容を更新できたりする点からも、利用されることが増えてきたようだ。もちろん、作家を目指す人が小説などを自己出版するケースも多いが、読んでもらうには宣伝も必要になる。売れれば出版社や取次会社に差し引かれることなく、電子書籍ストアの取り分以外は自分の手元に入ってくるため取り分は大きいが、そこまでのヒットに至るケースはごく一握りだ。しかし、そうした「誰でも気軽に出版できる」という環境が整ってきたことも、電子書籍の拡大をさらに後押ししていくのは間違いなさそうだ。
「電子書籍元年」という言い方は毎年のように聞かれるが、何かのきっかけでガラリと電子書籍に移行するというより、このように紙書籍と電子書籍の境界が薄くなり選択肢が広がることで、自然と普及していっているというのが現状ではないだろうか。今年はさらにそうした動きが進んでいきそうだ。(編集担当:久保田雄城)
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