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ボーイング社、宇宙船CST-100のCCiCap全マイルストーンを達成
ボーイング社、宇宙船CST-100のCCiCap全マイルストーンを達成(Image credit: Boeing)[写真拡大]
ボーイング社は8月21日、有人宇宙船CST-100(Crew Space Transportation-100)の開発状況についてについて、フェイズIIの安全審査(Safety Review)と最終設計審査(Critical Design Review)を完了したと発表した。これにより、米航空宇宙局(NASA)のCCiCap(Commercial Crew integrated Capability)プログラムで定められた、すべてのマイルストーンを達成したことになる。
CST-100はNASAの商業宇宙船計画(Commercial Crew Program)の下で開発が進められている有人宇宙船で、7人の乗員を乗せ、地球低軌道の国際宇宙ステーション(ISS)などに送り込むことができる。単独飛行では約60日間、ISSとドッキングした状態では最大7ヶ月間、宇宙に滞在することが可能で、カプセルは約10回再使用することができる。打ち上げロケットはアトラスVの他、デルタIVやファルコン9なども使用できるとされる。
フェイズIIの安全審査では、乗組員の生命に関わる事態が起きないか、また現在の設計が、起こりうるあらゆる危険に対処できるかを保証するための、宇宙船の全面的な安全性が審査された。最終設計審査では、推進システムやソフトウェア、電子機器、着陸システム、電力系統やドッキング・システムなどの設計が妥当かどうかが審査された。
現在、オバマ政権とアメリカ航空宇宙局(NASA)は、地球低軌道向けの人間や貨物の輸送を民間に担わせるという政策を進めており、すでに貨物の輸送に関しては実現し、スペースX社のドラゴン補給船と、オービタル・サイエンシズ社のシグナス補給船が補給ミッションを担うまでになっている。
一方で有人宇宙船は、現在CCiCapプログラムの下で、ボーイングとシエラ・ネバダ、スペースXの3社が競争で開発を行っている段階にある。NASAは民間による宇宙船の開発に対して、定められた基準をクリアするごとに資金提供を行う、段階的な仕組みを設けており、CCiCapはその第3ラウンドだ。
なおCST-100は、当初のCCiCapの期限である2014年8月中に審査を完了したが、スペースX社とシエラ・ネバダ社に対しては、NASAが期限を2015年3月いっぱいまで延長することを発表している。
NASAでは今月中にも、CCiCapの審査結果に基づいて、この3社の中から最終開発フェイズであるCCtCap(Commercial Crew Transportation Capability)に進む企業を選び、契約を与える予定だ。CCtCapでは、宇宙船とロケットの両方と、両者が統合された際に必要となる、すべてのシステムの最終設計と、その審査が行われることになっている。
ただし、3社すべてが選ばれる可能性は低いと見られており、ボーイング社ではもし選ばれなかった場合に、CST-100のチームを解雇するという通達を出している。
またこの3社とは別に、Amazon.comの創業者であるジェフ・ベゾス氏が立ち上げたブルー・オリジン社が、自己資金で宇宙船の開発を行っている。
■Boeing Commercial Crew Program Completes Critical Design and Safety Reviews
http://boeing.mediaroom.com/2014-08-21-Boeing-Commercial-Crew-Program-Completes-Critical-Design-and-Safety-Reviews
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