インドの火星探査機マーズ・オービター、火星到着の日まで、あと100日

2014年6月16日 21:00

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記事提供元:sorae.jp

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  インド宇宙機関(ISRO)が昨年打ち上げた火星探査機マーズ・オービターの火星到着の日まで、あと100日となった。マーズ・オービターはこれまでに2回の軌道修正を行いつつ、9月24日の到着に向け、一路火星へ向けた軌道をひた走っている。

  マーズ・オービターはISROが2013年11月5日に打ち上げた火星探査機で、インドにとっては月より遠くの深宇宙へ飛ぶ、初めての探査機である。

  探査機は打ち上げ後、まず地球を回る軌道に乗り、そこから6回の軌道上昇を行った。途中4回目の軌道上において、不具合が起き、予定していた軌道に乗れなかったものの、その後挽回。そして12月1日に地球軌道から離脱する噴射を実施、探査機は第2宇宙速度に達し、惑星間空間へ飛び出した。

  12月11日には、最初の軌道補正マニューヴァー(TCM-1)を実施、結果は良好で、4月に予定されていた軌道補正マニューヴァーは不要となった。そして6月12日には2回目の軌道補正マニューヴァー(TCM-2)を実施、搭載機器も状態も正常で、現在順調に火星への航路を旅し続けている。現時点で火星への到着、つまり火星を回る軌道への投入は、9月24日に予定されている。

  マーズ・オービターの打ち上げ時の質量は1,337kgで、惑星探査機に必要な技術の実証と、また5種類の観測機器を駆使しての、火星探査を目指す。本格的な開発は2012年8月に始まり、開発期間は2年2ヶ月ほどと破格の短さである。また開発費も約45億4000万インドルピー(日本円で約70億円)ときわめて安価だ。

 探査機の衛星バス(衛星の筐体)には通信衛星や測位衛星にも使われたことのあるI-1Kと呼ばれる衛星バスを基に構築されており、スラスターや通信機器なども既存のものに改修が加えられたものが用いられている。火星までの航行に各機器が耐えられるか、火星周回軌道への投入時に計画通りスラスター噴射が行えるか、どれをとってもインドにとっては大きな挑戦となる。

  なお、2013年11月18日には米航空宇宙局(NASA)も火星探査機メイヴンを打ち上げ、マーズ・オービターと同じく火星への航路上にある。こちらはロケットでの打ち上げ時のエネルギーが大きかったことから、火星へやマーズ・オービターより早い、9月22日に到着する予定だ。

 ■ISRO: Mars Orbiter Mission
http://www.isro.gov.in/mars/home.aspx

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