【鈴木雅光の投信Now】需給改善に向かう国内REIT市場

2014年5月6日 19:29

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

  東証REIT指数は昨年秋口以降、1450ポイントから1510ポイントのレンジ内で推移しているが、これからは徐々に上昇局面へと移行していく環境が整いつつある。

  まず買い手の動き。J-REITの投資部門別売買動向を見ると、J-REITの買い手は銀行と投資信託が中心で、これに日銀が加わっている。銀行はおもに地方銀行で、国債運用ではリターンが期待しにくくなってきたため、余資運用の一部をJ-REITにシフトしている。現在、長期金利は0.6%程度で、J-REITの分配金利回りは平均で3.7%前後。両者の間には3%の金利差がある。この水準が維持されている限り、銀行はJ-REITへの投資を継続していくだろう。

  投資信託は「J-REIT特化型ファンド」と称されるファンド・オブ・ファンズが、J-REITを組み入れて運用している。J-REIT特化型ファンドの投資金額は2兆4000億円前後。残高の伸びはやや落ちているものの、安定的に資金流入が続いている。

  そして日銀の動きだが、昨年末まで1回の買入につき1億円だったのが、今年に入ってからは3億円ペースになった。株価の下落を支えるためだ。加えてこれから注目されるのが、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)によるJ-REITの買入だ。現在、GPIFは120兆円の年金資金を運用しているが、その一部をJ-REITへの投資に振り向けた。

  このように、当面需要は堅調だ。そして一方の供給面は、IPOや増資などのエクイティファイナンスの状況が気になるところだが、昨年は過去最高額で、1兆1049億円のエクイティファイナンスが実施された。2014年は3月末時点で2225億円。J-REITのエクイティファイナンスは、1~3月期で年間の半分くらいの資金調達が行われる。ということは、IPOと公募増資で年間の推定額は4450億円。昨年に比べると、供給はかなり抑えこまれそうだ。

  供給が抑えこまれる一方、需要は堅調なのだから、J-REIT市場は少なくとも需給面で見れば、上値を追いやすい環境にあると見て良いだろう。(証券会社、公社債新聞社、金融データシステム勤務を経て2004年にJOYntを設立、代表取締役に就任、著書多数)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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