JAXA、イプシロンロケット試験機の打ち上げを8月22日に設定

2013年5月27日 08:00

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記事提供元:sorae.jp

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  宇宙航空研究開発機構(JAXA)は21日、イプシロンロケット試験機の打ち上げを、8月22日に試みると発表した。

  打ち上げが行われる時間帯は13時30分から14時30分で、また予備日として8月23日から9月30日までが確保されている。

  イプシロンはJAXAとIHIエアロスペースが開発中の新型ロケットで、かつて「はやぶさ」の打ち上げなどで活躍したM-Vロケットの後継機に当たる。実験装置ゆえの高い打ち上げ費用を主な理由として退役したM-Vを教訓に、第1段にはH-IIAやH-IIBロケットの補助ブースターとして使われているSRB-Aを改修したものが、また第2段と第3段にはM-Vの第3段とキックモーター(第4段)を改修したものが用いられており、すでにある部品を組み合わせることで徹底した低コスト化が図られている。

  また他にもH-IIAとH-IIBとの部品の共通化や、少人数で打ち上げ管制を行うなどの新機軸を取り入れており、イプシロンの打ち上げ能力はM-Vの約65%ほどだが、打ち上げ費用はM-Vの約80億円から38億円へと半額以下にまで下がっている。また将来的には30億円以下にまで引き下げたいとしている。

  もしイプシロンが計画している低コスト化を達成できれば、商業ロケットとして打ち上げビジネスを展開できる可能性もある。しかしイプシロンの打ち上げ能力と競合するロケットは多く、価格以上の価値をどのように創出できるかが課題となろう。また、商業ロケットとして使用するのであれば、打ち上げの行われる内之浦宇宙空間観測所やその周辺などの大規模な改修も必要となろう。しかし、現時点でそれらに向けた動きは見られていない。

  今回の試験機で打ち上げられるのはSPRINT-Aと呼ばれる、地球の周回軌道から太陽系の惑星を観測する宇宙望遠鏡で、金星や火星から流出している大気が、なぜ、どのようにして流出しているのか、また太陽風との関係は、ということを探る。また、木星の衛星イオの火山から噴出したガスがプラズマ化し、イオの軌道周辺に沿って木星を取り巻くように層が形成される、イオトーラスと呼ばれる現象も観測する。

  日本電気が製造を担当しており、打ち上げ時の質量は約340kg。近地点高度950km、遠地点高度1,150km、軌道傾斜角31度の軌道で運用され、設計寿命は約1年が予定されている。

 ■JAXA|イプシロンロケット試験機による惑星分光観測衛星(SPRINT-A)の打上げについて
http://www.jaxa.jp/press/2013/05/20130521_epsilon_j.html

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