三菱重工が2本アームの遠隔作業ロボットを開発、福島原発などで使用

2012年12月7日 11:21

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遠隔作業ロボット「MHI-MEISTeR」(写真:三菱重工業)

遠隔作業ロボット「MHI-MEISTeR」(写真:三菱重工業)[写真拡大]

 三菱重工業は6日、人が近づけない災害や過酷事故の現場を自由に移動し、2本のロボットアームで点検だけでなく保守・補修などの作業ができる遠隔作業ロボット「MHI-MEISTeR」(マイスター)を開発したと発表した。

 同ロボットは、既存の災害対応ロボットがカメラなどによる点検・監視機能を中心とするのに対して、アームの先端に取り付けるツールを交換することで汚染調査のためにコンクリートに穴をあけてサンプルを採取したり、通路を遮断している手すりなどの障害物を切断するなど、多様な作業を遠隔操作で行える画期的な機能を持つ。

 同ロボットは、1999年に茨城県東海村で起きた核燃料加工施設の臨界事故をきっかけに、当時の日本原子力研究所(現日本原子力研究開発機構)と三菱重工が共同開発した耐環境型ロボット(通称Rabot)がベース。当時その姉妹機として製作した社内用ロボット(MARS-D)を、原子力施設のメンテナンスの現場で培った技術を活用して東京電力の福島第一原子力発電所で使えるように改良した。ロボット内部の汚染防止対策など耐放射線性能や遠隔操縦性を高めている。

 同機のロボットアームは、人の腕と同じような7つの関節(7自由度)を持ち、先端部に様々な専用作業ツールを簡単に着脱することが可能。このため、片方でモノを把持しながらもう一方で切断する作業や、左右に異なるツールを装着して1台で2種類の作業を同時に行うことができる。

 今回、コンクリートの汚染調査用に開発したドリルやハンド(挟み爪)などの専用ツールを同機に装備することで、コンクリートの壁や床から70mm程度の深さまでのサンプルを遠隔操作で採取できるため、人が近づけない高線量域における汚染状況調査での活躍が期待されている。

 三菱重工は今後、福島原子力発電所などでの多様なニーズに対応するため、各種先端ツールの開発をはじめ、さらに高機能な遠隔作業ロボットの技術開発を進めていく。

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