三菱重工、航空機部品製造における規定違反1191件 国交省

2011年8月26日 17:37

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 国土交通省は26日、三菱重工業において、航空機部品の製造にあたって規定違反が確認されたことから、今年7月8日に、同社に対して航空機部品の品質管理を徹底するよう厳重注意を行うとともに、同種事例の調査や再発防止策を策定の上、報告するよう求めていたことに関し、8月23日に、同社から「航空機部品の品質管理の徹底について(ご報告)」(以下、報告書)が提出されたと発表した。

 国交省によると、同報告書から、社内規定違反事例が1,000件以上(1191件)あったことが判明。具体的には、「各種の表面処理について、スペック上要求される時間を満足しないで実施」、「社内資格が必要な作業・検査を、無資格の作業員等が実施」、「作業記録の漏れ、検査印の押印漏れ 」などの社内規定違反があった。

 また、その原因として、社内に納期を優先する体質が蔓延し、かつ、作業管理や教育・訓練等が十分に行われていないなど、航空機の安全確保を最優先すべき航空機製造者として極めて重大な問題があったことが判明した。

 三菱重工は、再発防止策として、マネジメントの見直し(業務に対応した管理監督の観点) 「経営トップによる品質第一の経営方針の示達、作業の質・量に応じた適切なリソース(人数、工数)の配分及び見直し」、現場管理体制の見直し 「生産計画及び管理の改善、作業工程の適切な設定、作業委託管理の改善等」、品質保証の仕組みの改革「検査依存からプロセス保証型の品質保証体制への移行、内部監査の方法の改善等」、飛行安全に対する意識の浸透「規定内容や規定遵守に関する教育を実施 」を実施するとしている。

 国交省は、提出された「報告書」で述べられた再発防止策が確実に実施され、抜本的な改善が着実に進められていくことを確認するため、同社に対して再発防止策の実施状況を定期的に報告するよう指示した。

 また、大畠章宏国交相は、これを受け、「『ものづくり日本』ということで、まさに先人達の経験や知恵を積み重ねて、高品質そして安定的な製品を生み出してきたが、そのルールから逸脱して製品を造っていたということが内部告発によって調査をした結果明らかになったことを、非常に残念に思う」との旨を述べた。

 一方、三菱重工は、「航空機を製造する企業として、飛行安全を確保するために、各種の規定、ルールを遵守することは事業活動の根幹。今回の規定違反行為が起きたことを踏まえ、ルールを遵守することの重要性及び一人一人の作業が航空機の飛行安全に直結していることについての意識付けや教育を再徹底していく。また、それらの規定違反が長期間にわたって見過ごされていたことを反省し、現場の問題点、悩みを早期に把握、解決するための生産管理・品質管理面での仕組みづくりを行うことで、規定違反が未然に防止できる体制を構築し、信頼回復に全力で取り組んでいく」とコメントしている。


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