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防災科技研とJR3社、「海底地震計データ」を鉄道の地震防災対策に活用へ
防災科研の整備・運用する海底地震津波観測網から得られる海底地震計データを鉄道事業者各社の地震防災対策へ活用することを目的とした相互協力協定を締結した。[写真拡大]
国立研究開発法人防災科学技術研究所(以下、防災科研)、東日本旅客鉄道株式会社(以下、JR東日本)〈9020〉、東海旅客鉄道株式会社(以下、JR東海)〈9022〉、西日本旅客鉄道株式会社(以下、JR西日本)〈9021〉は、防災科研の整備・運用する海底地震津波観測網から得られる海底地震計データを鉄道事業者各社の地震防災対策へ活用することを目的とした相互協力協定を平成29年10月30日付で締結した。
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この協定に基づき、海底地震計データが鉄道事業者へ配信され、JR東日本の新幹線の一部区間において平成29年11月1日より地震発生時における新幹線制御への活用が始まる。JR東海、JR西日本の新幹線については、準備ができ次第、順次新幹線制御への活用を始める予定だ。世界最大規模の海底地震津波観測網及びそれを活用するための共同研究の成果が、社会基盤である新幹線をはじめとする鉄道の安全性の向上のために実装されるのは初めての事例となり、期待が高まっている。
近年、海域で発生する巨大地震は甚大な被害をもたらしており、引き続き危惧される東日本太平洋沖の地震や近い将来に高い確率で発生が懸念される南海トラフ巨大地震への対策は、日本の重要課題の一つとなっている。JR東日本、JR東海、JR西日本ではそれぞれ、地震を早期検知し緊急停止する地震防災システムを導入しているが、これまでの地震防災システムでは陸上に設置された地震計の情報(Hi-netやK-NET等)が主に用いられてきた。
防災科研では、2011年東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)を契機に、海域で発生する地震・津波を広域かつ多点でリアルタイムに観測、東日本太平洋沖を中心とする日本海溝沿いに日本海溝海底地震津波観測網(S-net)を、南海トラフ巨大地震の想定震源域に地震・津波観測監視システム(DONET)を整備・運用しており、これらの海底地震津波観測網を活用して、海域で発生する地震を早期に検知して迅速な情報伝達を行うことにより、地震防災対策の向上への貢献を目指している。
従来は海域で発生した地震を詳細にとらえることは困難だったが、S-netや地震・津波観測監視システム(DONET)など海域における観測が充実することで、2011年東北地方太平洋沖地震のような海溝型巨大地震発生時にも正確なデータを地震発生直後に得ることが出来るようになり、緊急地震速報や津波警報・注意報などの精度や迅速性が高まることが期待されている。
また、防災科学技術研究所 地震津波火山ネットワークセンター長 青井氏は“現在の津波警報・注意報は沿岸における予想される津波の高さと到達予想時刻が対象ですが、防災科研では津波がどこまで遡上(陸をかけのぼること)するかを即時予測する手法の開発をしており、将来的にはこのような情報を活かすことにより迅速な避難につながることを願って研究を進めている”と語る。
今後、防災科研と鉄道総研の共同研究の成果を活用し、防災科研は2018年にかけてDONET加速度計データを配信するシステムを構築し、試験配信を開始する予定だ。さらに2019年よりDONETデータの新幹線の運行制御への利活用を目指している。(編集担当:久保田雄城)
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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