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目薬の1滴の量、人間の目に対し多すぎか
headless曰く、 目薬(点眼液)を使用する場合、目からあふれた液をふき取るため、ティッシュペーパーなどを用意することが多いと思われるが、実際のところ目薬の1滴は目が保持できる量よりもはるかに多いそうだ(ProPublica、Consumerist)。
アイケア製品大手のアルコンでは1990年代初め、目薬が目にしみるといった患者からの苦情を受けて1滴の量を減らす研究をしていた。目薬の1滴の量は特に規制されていないが、中には目が保持できる量の倍以上となる50マイクロリットルを超えるものもある。研究チームではドロッパーボトルの先端を改良して1滴16マイクロリットルの「マイクロドロップ」を作成。緑内障患者29名を被験者としてテストしたところ、通常サイズの1滴と変わらない効果が得られたという。
研究成果は1992年、American Journal of Ophthalmology誌に掲載されたが、マイクロドロップが製品化されることはなかった。その理由は主に利益の問題だ。1滴の量が減れば使用量が減るため、売上に影響する。また、1滴の量を減らしても同じ効果があるという研究結果を米食品医薬品局(FDA)に証明し、承認を受ける必要も出てくる。ただし、現在アルコンでは1滴の量について、安全な用量を超えることなく、患者の目に十分な薬を確実に行き渡らせる量だと説明しているとのこと。
それから25年、目薬の1滴が必要以上に多いという研究結果はたびたび発表されているが、1滴の量を減らした目薬は発売されていない。製薬大手アラガンの研究者は1滴の量を減らすことで患部以外への薬品の曝露を最低限に抑え、無駄に捨てられる目薬を減らすことができるという研究成果を2006年に発表している。また、製薬大手ファイザーの内部メモによると、人間の目が吸収可能な目薬の量は7マイクロリットルなのだという。
無駄になる目薬の量は、高価な目薬を1日に数回点眼する必要のある緑内障患者などにとって死活問題となる。しかし、目薬の1滴の量を減らすことは価格の引き上げにつながり、医療費が安くなることはないとの見方もあるようだ。
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