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DSM、世界初の次世代樹脂で金属代替 自動車50%軽量化でCO2削減
DSMは3日、次世代の高機能樹脂「ForTii Ace MX」を開発、販売を開始した。ForTii Ace MXは、ポリアミド4Tをベースとしたポリフタルアミドで、機械的特性と耐熱性、耐薬品性を持ち、高温環境下でもPEEK樹脂に勝る剛性、引張強度、弾性率、耐薬品性を維持する。そのため、これまで金属代替が不可能だった自動車のエンジンルームの金属部品の樹脂化を可能にするという。
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●樹脂での金属代替のメリット
樹脂化の目的はコスト削減である。使用する金属材料や製造工程により、コスト削減率は異なるが、概ね部品の樹脂化は、材料コスト削減と製造工程コスト削減の効果がある。製造業にとって、材料の価格変動によるコスト高騰は課題の一つであり、樹脂は金属材料と比較すると原料単価も安価で安定している。また、樹脂の複雑な形状にも耐えうる特性は、部品点数の削減や工程の簡略化を可能にし、製造期間の短縮にも繋がる。
金属部品と比較して、樹脂部品は軽量だ。携帯端末や製品の軽量化は、部品や筐体の樹脂化と電池の小型化の効果である。樹脂の耐熱性や強度が増せば、部品の樹脂化はさらに加速する。
その他にも金属部品の樹脂化には、耐水性、絶縁性、耐薬品性、有限な金属資源の代替という環境への配慮のメリットがある。今回発表の樹脂を使用すれば、自動車の軽量化に貢献し、結果として走行距離をのばし、CO2を削減するという。
●金属代替の市場成長率10%、自動車50%の軽量化
DSMによれば、金属代替の市場は、毎年10%近く成長しており、さらに、世界の主要自動車市場では、CO2排出量の規制を受けて2025年までに平均約200kgの軽量化が求められているという。金属から今回開発した樹脂への代替で、50%程度の部品軽量化が可能と述べている。
●樹脂(DSM、ForTii Ace MXの樹脂特性)のテクノロジー
ForTii Ace MXは、自動車環境で必要とされる温度域(80度~160度)で優れた長期耐熱性を発揮する。融点は335度、ガラス転移点は160度で、PEEK樹脂以上の性能を持ち、耐熱温度は320度である。また、エンジンルーム内ではオイルに晒されることから耐薬品性が必要になる。PEEK樹脂の95%程度の性能を持ち、pH1の強酸にも耐える。加えて、射出成型が可能で、吸水性が低いことから寸法安定性が高く、安定した大量生産と製造コストの抑制が可能という。これは、自由な部品設計による省スペース化にも貢献する。なお、150度付近の物性は、弾性率約10,000Mpa、剛性10,000Mpa以上、引張強度 150Mpaと優れている。
ForTii Ace MXは、ガラス繊維や炭素繊維といった充填材や補強材を重量比50%まで添加可能な唯一のポリフタルアミドで、様々な種類のグレードが開発可能という。
これらの特性を考慮すると、構造部材支持体、フロントエンジンカバー、エンジンマウント、ボディコンポジットなどの部品の樹脂化が可能なようだ。
このような環境にも配慮した活動の結果としてDSMは、今年のダボス会議にて発表された「Global100 Most Sustainable Corporations in the World」の9位にランクインしている。(記事:小池豊・記事一覧を見る)
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