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DNA解析によって60種以上の柑橘類の遺伝的樹形関係が明らかに
京大などの研究グループが、最新の遺伝解析技術を用い、60品種以上の柑橘類の遺伝的系統関係を明らかにした。
「トウキンカン」。「パペダ」。「タンゴール」。何のことか、お分かりになるだろうか?いずれも、柑橘類の仲間である。それも、これらはマイナーな品種の名ではなく、かなり大きな区分の名称だ。
マイナーな品種名までいくと、もっと聞いたこともないようなものがある。たとえば「クレオパトラ」というみかんの品種があり、「不知火」はタンゴールの一種で、「カルナカッタ」はシトロン(レモン)の仲間である。
柑橘類は、あらゆる果実の中でも、人類にとってもっともなじみ深いものだといわれる。日本で栽培されている品種だけでも、ざっと3桁のオーダーである。
世界を見るとどうか。柑橘類は世界中の熱帯・亜熱帯・温帯で栽培されている。いくつかのデータをあげよう。世界で、約10億本の柑橘類の樹木が栽培されている。実に人類数人に対して1本という計算になる。21世紀初め頃の柑橘類の世界総生産量は、年間で約1億トン。交易に回るものだけで、1,000万トンにのぼる。
世界的に代表的な品種だけで、オレンジ、グレープフルーツ、温州ミカン、レモンなどがあり、日本ではユズ、夏みかん、ざぼん、すだち、ブンタンなど、あげていけばそれこそきりがない。ちなみに、邪馬台国の卑弥呼女王の時代からもう日本では柑橘類が栽培されていたらしい。
さて、このきりがないほどある日本の柑橘類だが、長い歴史の中で様々な進化や品種改良の結果として生まれたものなので、どれとどれがどういう関係にあるのかは、分からなくなってしまっていた。そこで、京大などの研究グループが今回、その親子関係を改めて調べ直した、というわけである。
それによって分かったことには、紀州ミカン、ユズ、タネンボ、タチバナ、ダイダイ、コウジ、スイートオレンジが日本の多くの柑橘類の祖にあたる存在であったそうだ。
なお、この研究が今後に果たす役割としては、柑橘類の品種改良を効率化・迅速化し、優れた新品種を生み出す一助となることが期待できるという。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)
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