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不揮発性磁気メモリのための新たな電圧駆動書き込み方式とは
IT機器の低消費電力化は、社会生活を豊かにしながら地球環境を維持する上で極めて重要な課題となっている。エレクトロニクスの分野においてそれを実現するキーテクノロジーとして注目されているのが、情報維持に電力を必要としない”不揮発性”メモリだ。スピントロニクス分野では、磁石が有する不揮発性を利用した不揮発性磁気メモリ「MRAM」の開発が進められており、大容量性、高速性、高い耐繰り返し動作性を満たし得る唯一の不揮発性メモリとして期待されている。しかし、現状の磁気メモリは、磁気トンネル接合素子(MTJ素子)への電流通電により情報書き込み(磁化反転)を行う”電流駆動型”であるため、半導体メモリと比べて書き込み時の消費電力が大きいことが課題となっている。
内閣府 総合科学技術・イノベーション会議が主導する革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)[プログラム・マネージャー:佐橋政司]の一環として、東芝<6502> 研究開発センターの藤田忍研究主幹、国立研究開発法人 産業技術総合研究所(産総研)スピントロニクス研究センターの野崎隆行研究チーム長らの研究開発チームは、電圧駆動型の不揮発性磁気メモリ「電圧トルクMRAM」の書き込みエラー率を低減する新しい書き込み方式を開発した。
研究開発チームはこれまで、高速パルス電圧によって磁化反転を制御可能な磁気トンネル接合素子(MTJ素子)を開発し、電圧駆動型の新しい磁気メモリ「電圧トルクMRAM」の実現に取り組んできた。電圧トルクMRAMでは、従来の電流駆動型磁気メモリ(STT-MRAM)と比較して飛躍的な低駆動電力化が期待されているが、書き込みエラー率の低減が実用化に向けた重要課題となっている。
今回、書き込み時に印加するパルスの前後に書き込みとは逆極性のパルス電圧を印加することにより、熱ゆらぎによる書き込み失敗の発生を抑制して書き込みエラー率を低減する手法、およびそれを実現する新しい書き込み用回路を開発した。この成果により、プロセッサ用ラストレベルキャッシュの大容量化と、それによるプロセッサの高性能化・低消費電力化が期待されるとしている。
今後は、今回得られた指針をもとに大容量のラストレベルキャッシュ、もしくはさらに大容量のメインメモリにおける仕様を満たす電圧磁気異方性制御を数十ナノメートルの実MTJ素子において実証することを目指すとともに、より高品質な回路システム設計を進める方針だ。(編集担当:慶尾六郎)
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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