関連記事
燃費問題で揺れる三菱自、調査報告書提出を受けるもインドネシアで新型コンセプト車を発表
いまだ燃費問題で揺れている三菱自は、同社が得意とするSUVらしいスタイリングや機能を融合させ、好調な東南アジア市場に向けたクロスオーバー小型MPV「MITSUBISHI XM Concept」を発表した[写真拡大]
三菱自動車は、2016年8月11日(一般公開は12日以降)から21日までインドネシアで開催される「インドネシア国際オートショー」に出展し、三菱自動車が得意とするSUVの力強さとMPVの多用途性を融合させた、スモールサイズのクロスオーバーMPVコンセプトカー「MITSUBISHI XM Concept」をワールドプレミアした。
足元の国内市場において燃費不正問題で、いまだ揺れ続ける三菱自は、8月2日に「燃費不正問題に関する調査報告書」提出を受けたばかり。
報告書のなかにある原因の分析で明らかになったのは、軽自動車「eKワゴン」開発中に「5回にわたる燃費目標の変更」が行なわれたということ。通常、このような目標の変更は1回が限度とされる開発中、異常ともいえる5度におよぶ上方修正が成されていたようなのだ。同車の当初燃費目標値である26.4km/リッターが、発売までの2年間に5回も引き上げられ、最終的には29.2km/リッターに変更された。この数値は三菱自開発陣の技術力で達成できず、燃費試験の際に入力する走行抵抗値を捏造し、燃費をごまかしていたのだ。正規の走行抵抗値で新たに検証した燃費は、26.8km/リッターで、当初目標をクリアするにとどまる。
新型車開発において、あらゆる目標値を開発途中で引き上げる場合、生産工程に新たな技術を盛り込む必要が出てくるはず。その設計、試作、効果検証などに必ず工程数も増加する。大きな変更をすれば数カ月単位で開発日程がずれ込んでいき、開発スケジュールを延期しない限り、量産化は困難となるはずだ。
その結果、eKワゴン開発において、5回におよぶ燃費目標変更に合わせるため、走行抵抗などの恣意的な算出と引下げが行われていた、と報告書は述べている。概要よると、数値の不正な作出は、次第にエスカレートしていった、とも記している。
この報告書を受けて三菱自の益子修会長兼社長は、「報告書のご指摘を真摯に受け止め、ものづくり企業としての再出発を図って参る所存です。社員、役員の全員がクルマづくりの原点に立ち返り、目指すべき理念についてしっかりと議論し、一体となって改革を実行して参ります」とした。
その三菱自が、得意とする東南アジア市場に向けた新型コンセプトモデルをインドネシアで発表したわけだ。
三菱自の発表によると「新型MITSUBISHI XM Conceptは、レイアウトの最適化とワイドボディの採用により、MPVとして乗員7名がゆったりくつろげる居住空間を確保。フロントフェイスには、人とクルマを守る機能を表現したデザインコンセプト“ダイナミックシールド”を採用した」としている。三菱自が得意とするSUVらしいスタイリングや機能を融合させ、安全に、快適に、楽しく移動できる、インドネシアの大家族に最適なクロスオーバー小型MPVだ。
このコンセプトを採用したスモールサイズのクロスオーバーMPVは2017年より稼動する新工場(西ジャワ州ブカシ県)で2017年10月より生産を開始する。三菱自が得意なマーケットに向けて新型車を投入、再生を目指して活性化を図るということか。(編集担当:吉田恒)
■関連記事
・【自動車業界の2016年4~6月期決算】国内販売は不振続き。海外販売は円高の悪影響をもろに受け、ガマンの時期が続く
・【自動車部品業界の2016年4~6月期決算】為替の円高という状況は共通でも、主力製品の違いによって業績に強弱の差が出た
・【日産自動車、三菱自動車の2016年4~6月期決算】日産との相乗効果次第で「三菱でも、いいクルマはある」と見直される可能性はある
・「消費増税延期」が自動車業界に与えた功罪……その2
・三菱自 新車販売大幅減、軽生産再開も400人休業か
※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
スポンサードリンク