九大、キノコ「霊芝」からインフルエンザ治療に使える成分を発見

2015年8月30日 19:16

印刷

 九州大学の清水邦義准教授、朱欽昌特任助教らの研究グループは、古くから和漢薬に用いられているマンネンタケ科のキノコ「霊芝(レイシ)」から抗インフルエンザ薬として有効な成分を発見した。

 インフルエンザウイルスが子孫ウイルスを放出するために使用する酵素「インフルエンザノイラミニダーゼ(NA)」は、インフルエンザ治療における最も有効な薬剤標的の一つである。しかし、広範囲にわたる薬剤使用や頻繁に発生するウイルスの突然変異により、現在使用されているNA阻害剤が薬剤耐性の問題に直面することは避けられない。

 今回の研究では、インフルエンザウイルスH1N1、H3N2、H5N1、H7N9とオセルタミビル耐性インフルエンザウイルスH1N1、H3N2由来のNAを用いて、霊芝(れいし)から単離した31種類のトリテルペノイド類のNA阻害活性を比較検討した。その結果、ガノデリン酸T-Qとガノデリン酸TRが、H1N1とH5N1のNAに対する阻害剤であることを明らかにした。

 特に、ガノデリン酸T-Qは、鳥インフルエンザとして知られるH5N1のNAに対しては、タミフルとして知られるオセルタミビルよりも高い阻害活性を示した。

 こうした結果によって、霊芝のトリテルペノイド類が抗インフルエンザ薬のリード化合物(新薬候補として十分な活性や物性を持つ化合物)となることが分かった。

 今後は、多機能性キノコである霊芝の新たな機能性を見出すことに加えて、新たな抗インフルエンザ薬の分子設計に貢献すると期待されている。

 なお、この内容は「Scientific Reports」に掲載された。論文タイトルは、「Inhibition of neuraminidase by Ganoderma triterpenoids and implications for neuraminidase inhibitor design」。

関連記事