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東大、高圧条件でアミノ酸のペプチド化が起こることを発見―氷衛星で生体物質が容易に作られる可能性
東京大学の鍵裕之教授らは、アミノ酸の一種であるアラニンの過飽和水溶液を室温下で5GPaから11GPaに加圧することで、生体の材料となるペプチドが生産されることを発見した。この結果は、地球から遠く離れた氷衛星や氷惑星などで生体関連物質が容易に作られる可能性があることを示しているという。
今回の研究では、代表的なアミノ酸である「アラニン粉末」と「アラニン飽和水溶液」を、室温条件で5GPaから11GPaの圧力条件に1時間置き、ガスクロマトグラフィー質量分析装置を用いて反応生成物の分析を行った。その結果、回収試料にはアラニンの二量体と三量体が含まれていることが明らかとなった。今回の分析条件では、四量体以上の生成物は検出することができないため、実際には四量体以上の大きなペプチド分子が生成されていた可能性もある。
今回の温度圧力条件では、アミノ酸と共存する水は氷の高圧相(氷VII相)に変化しているため、固体である氷の中でアミノ酸が脱水縮合したことになる。氷VII相は氷衛星に存在すると考えられているため、今回の結果は、地球から遠く離れた氷衛星や氷惑星でも、生体関連物質であるアミノ酸のペプチドが生産される可能性があることを示している。
今後は、今回発見された反応のメカニズムを明らかにするとともに、さらに高い圧力条件での実験を行い、より分子サイズの大きいペプチドが得られるかどうかを検討していくことが期待されている。
なお、この内容は「Chemical Communications」に掲載された。論文タイトルは、「Pressure-induced oligomerization of alanine at 25°C」。
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