ゆっくり食べた方が食後のエネルギー消費が増える=東工大

2015年5月13日 18:47

印刷

早く食べた際(左)と遅く食べた際(右)の、食後3時間の体重1kg当りの食事誘発性体熱産生の個人値、平均値および標準誤差を示す図。食べる早さは有意に食事誘発性体熱産生に影響した。ガム咀嚼も有意な効果を示したものの、食べる早さの影響には匹敵するものではなかった。(東京工業大学の発表資料より)

早く食べた際(左)と遅く食べた際(右)の、食後3時間の体重1kg当りの食事誘発性体熱産生の個人値、平均値および標準誤差を示す図。食べる早さは有意に食事誘発性体熱産生に影響した。ガム咀嚼も有意な効果を示したものの、食べる早さの影響には匹敵するものではなかった。(東京工業大学の発表資料より)[写真拡大]

 東京工業大学の林直亨教授らは、急いで食べる時に比べて、ゆっくり食べる方が食後のエネルギー消費量が増加することを明らかにした。

 早食いが過食をもたらすことで体重が増加する可能性が示唆されているが、同じ量の食事を摂取した場合にも、食べる速さによって体型に何らかの影響を与えるかどうかについては明らかになっていなかった。

 今回の研究では、被験者12名に食品をできるだけ急いで食べる試行と、できるだけゆっくり食べる試行とを行った。加えて、食事終了後に15分間ガムを噛む試行と、噛まない試行とを行った。

 その結果、食後3時間のエネルギー消費量は、急いで食べた試行の場合平均15kcalだったが、ゆっくり食べた時には30kcalと有意に高い値を示すことが分かった。さらに、ガムを噛むことによってこれらの値は平均6~8kcal増加することも明らかになった。

 つまり、よく噛んでゆっくり食べると食後のエネルギー消費量が増えること、そしてガムを噛むことによってこの差は多少埋まるが、15分間のガム咀嚼では食べる早さの違いを埋める程の効果には至らないと言える。

 今後は、咀嚼時間と咀嚼回数のどちらが食事誘発性体熱産生に影響を及ぼすのかについて検討することが予定されている。また咀嚼を基本にした減量手段の開発に役立つことが期待される。

 なお、この内容は「The Journal of Physiological Science」に掲載された。論文タイトルは、「Effect of postprandial chewing gum on diet-induced thermogenesis」。

関連記事