高分子を鋳型にして、金をナノ空間でコントロールすることに成功

2015年3月31日 21:22

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ミセルのサイズを変化させて作製した金ナノ多孔体の電子顕微鏡写真。右に行くほど孔のサイズが大きくなっている(物質・材料研究機構の発表資料より)

ミセルのサイズを変化させて作製した金ナノ多孔体の電子顕微鏡写真。右に行くほど孔のサイズが大きくなっている(物質・材料研究機構の発表資料より)[写真拡大]

 物質・材料研究機構(NIMS)の山内悠輔氏らによる研究グループは、高分子を鋳型として活用することで、均一で規則的なナノ空間を持つ金ナノ多孔体を作ることに成功した。

 内部に直径数ナノメートルの細孔状の空間が配列している「ナノ多孔体」は、触媒材料及び吸着材料等へ向けた研究・開発が活発に行われてきた。特に金のナノ多孔体は、エレクトロニクスから触媒、医学にいたるまで、様々な分野での応用が提案されている。

 今回の研究では、疎水性と親水性の性質をあわせ持つ高分子(両親媒性ブロックコポリマー)の希薄溶液中で濃度を調整することで均一なサイズの球状ミセル(分子集合体)を形成し、これを鋳型として用いて精密な電解析出の制御のもとに金イオンを還元させた結果、ミセルのサイズに応じたナノ細孔を膜一面に形成することに成功した。

 今後は、分子センシングのためのSERS活性基板や電極触媒など、様々な分野で応用できると期待されている。

 なお、この内容は「Nature Communications」オンライン版に掲載された。

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