東大、土壌中の放射性セシウム分布を明らかに

2014年11月14日 15:45

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福島県の放射能汚染土壌からマイクロマニピュレータによって採取された放射性微粒子(上)と、各粒子から発せられる放射線をイメージングプレートと呼ばれる放射線記録媒体によって記録したもの(下)。赤や緑が強い放射線を示し、放射能を持つ微粒子とそうでないものが判別できる(東京大学の発表資料より)

福島県の放射能汚染土壌からマイクロマニピュレータによって採取された放射性微粒子(上)と、各粒子から発せられる放射線をイメージングプレートと呼ばれる放射線記録媒体によって記録したもの(下)。赤や緑が強い放射線を示し、放射能を持つ微粒子とそうでないものが判別できる(東京大学の発表資料より)[写真拡大]

  • 放射性微粒子の電子顕微鏡像(上)とそこから放出されるX線が示す微粒子の化学組成(下)。これにより、放射性微粒子を構成する物質を明らかにし、左から順に風化黒雲母の鉱物粒子、有機物が主体で小さな鉱物粒子を含む粒子、細かい鉱物粒子の集合体(土壌団粒)と分類された(東京大学の発表資料より)

 東京大学の小暮敏博准教授らによる研究グループは、様々な電子顕微鏡技術等を駆使することで、福島県の土壌中の放射性セシウム分布を明らかにした。

 東日本大震災後、各地域の土壌中の放射能強度や経時変化が詳細に調べられてきたが、放射能の主体である放射性セシウムがどのように土壌中で存在するかは明らかになっていなかった。

 今回の研究では、イメージングプレート(IP)オートラジオグラフィーと呼ばれる放射線検出の手法を改良し、さらに様々な電子顕微鏡技術等を駆使することによって、福島県飯舘村から採取した土壌中で放射性セシウムを固定している微粒子を調べた。その結果、放射性セシウムは風化黒雲母と呼ばれる鉱物粒子に多く固定されており、セシウムはこの鉱物中に均一に分布していることが分かった。

 今後は、採集した放射性微粒子を用いてセシウムの存在状態やその安定性、化学的処理による脱理の可能性などを調べることで、有効な放射能汚染対策が進むと期待されている。

 なお、この内容は「Environmental Science & Technology」に掲載された。

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