インド経済成長が09年以来の低い伸び、90年代危機以来の低成長を見込む声も

2013年9月2日 09:49

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記事提供元:フィスコ


*09:49JST インド経済成長が09年以来の低い伸び、90年代危機以来の低成長を見込む声も
中央統計機構が前週末8月30日の大引け後に発表した4-6月期(第1四半期)の実質国内総生産(GDP)成長率は前年同期比4.4%となり、2009年以来の低い伸びを記録した。市場予想(ブルームバーグ)は4.7%、前回(1-3月期)成長率は同4.8%だった。

第1四半期には通貨ルピーが対米ドルで9.3%下落。政府は年度後半からの成長回復に自信を示しているが、その後もルピー相場は過去最安値となる1米ドル=70ルピーに接近しており、外国人投資家の不信感がインド売りを促し、ルピーが一段と低下する可能性が高まってきた。

インド準備銀行(中央銀行)は通貨下落への対策として短期流動性を引き締める政策を打ち出しており、これが低迷した景気に一段の下押し圧力をかけている。BNPパリバ証券は今年度(2013年4月-2014年3月)の実質国内総生産(GDP)成長率が前年度比3.7%まで落ち込むとの予想を示しているが、これが実現すれば1990年代のアジア危機以来の低成長となる。

今後の注目点は9月5日に就任する準備銀行の新総裁ラジャン氏の手腕。ラジャン新総裁による初の金融政策レビューは18日に開催される予定だが、日本時間19日未明に発表される米連邦公開市場委員会(FOMC)結果を見極めたいとの思惑から、準備銀行会合が20日に延期される可能性も報じられている。

新興国からの資本流出を促している米量的緩和の縮小観測に対し、政府やラジャン新総裁がどのような手段を打ち出してくるか。これら手段に効果が見込めなければ、さらなるインド売りと成長鈍化は避けられなくなる。《RS》

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