アサヒグループHD、砂糖の生産性を高めるバイオエタノール生産技術を開発

2012年10月10日 11:45

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 アサヒグループホールディングス(HD)の豊かさ創造研究所と農研機構 九州沖縄農業研究センターは9日、砂糖とエタノールの生産順序が従来と逆である「逆転生産プロセス」を世界で初めて開発したと発表した。

 サトウキビ中には、砂糖の原料になるショ糖と砂糖の原料にならない還元糖の2種類の糖分が存在する。高バイオマス量サトウキビは、単位面積あたり従来の約2倍のサトウキビが収穫できるものの、搾汁中に多量の還元糖が含まれることから、ショ糖の多くが結晶化されず、砂糖の回収率が低いことや、経済状況に応じた砂糖とエタノールの生産比率の調節ができないことが課題となっていた。そこで、還元糖のみを選択的にエタノールに変換する酵母(ショ糖非資化性酵母)を用い、ショ糖の結晶化を阻害する還元糖を先にエタノールへ変換し、その後砂糖を生産するプロセスへと発想を転換し、今回の「逆転生産プロセス」の開発に至った。

 「逆転生産プロセス」では、砂糖生産の阻害物質である還元糖のみを選択的にエタノールに変換する酵母(ショ糖非資化性酵母)を用いて還元糖を除去しつつエタノールを生産し、その後に砂糖の結晶化を行う。このプロセスを用いて実際にサトウキビ搾汁を使用した実験を行い、砂糖収率を大幅に向上できることを実証した。特に、ある種の高バイオマス量サトウキビと同程度の還元糖を含む搾汁からは、従来法の4倍の砂糖が回収できたという。

 「逆転生産プロセス」を用いると、バイオエタノール生産による食料とエネルギーの同時増産、さらには、需要等に応じてそれらの生産量・比率を調節することが可能となる。今後「逆転生産プロセス」の技術的な検証を実施し、2015年を目処に国内外での実用化を視野に入れ、技術を高めていくことを検討する。

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