「技術商社」を標榜するジェイテックの中計に、「?」を抱く理由

2024年11月15日 09:37

 ジェイテック(2479、東証グロース)。「技術商社」を標榜。自動車・精密・半導体分野向けなどを中心に、技術職知財リース事業(人材派遣・請負・業務委託)を展開している。

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 その幅は広い。『機械設計開発』だけで捉えても、「輸送用機器のエンジン・ボディ・EV部品」/「航空機の機体・補助装置」/「半導体製造装置の露光装置・エッチング装置」/「映像音響機器ではTVやデジタルカメラ」といった具合。ホームページを覗くと「売上上位顧客企業」として、誰もが知る上位10社が記されている。

 社会(経済)に動きが出てくると需要が増す。そのことはジェイテックの収益動向にも反映されている。

 2021年3月期/22年3月期は「5600万円、1億1800万円の営業損失」に沈んだ。がその後は「1億7800万円の営業黒字」に転じ前3月期も「2.0%増収、28.1%営業増益」。そして今3月期も「15.6%の増収(37億5000万円)、52.7%の営業増益(3億5000万円)」計画で立ち上がり、第1四半期は前年同期比「0.9%増収、21.5%営業増益」で通過した。

 が多面的に覗き込みを続けていくうちに、ジェイテックについて幾つかの「疑問」を抱いた。例えば・・・*株価:本稿作成中の時価は200円台前半。予想PERは9.9倍水準。グロース市場銘柄としては、食い足りなさを覚える。また過去10年近くの(修正済み)株価パフォーマンスは、ほぼ変わらず。

 *株主:金融機関の持ち株比率は1%未満(0.6%弱)。大株主には現CEO社長の藤本彰氏(筆頭株主)以下、7人の個人名が名を連ねる。

 *8月23日にかけ2万1000株の自己株式処分を行っている。1株254円(総額533万4000円)。ジェイテック及び子会社の役員3名と社員132名を対象にした、第三者割当方式での実施だ。「自社株を保有することによる、アイデンティティの高まり」を否定するものではない。が、金融機関等を対象にした基盤強化こそが「賢明ではないか」という思いを抱く。

 *至26年3月期の中計:売上高44億円(22年3月期比38.45%増)、営業利益5億2000万円(2.92倍)。水を差す立場にはない。が「過去10年間の売上高平均成長率、純益成長率」を知ると、懸念は残る。

 *悪材料:既存技術者はフル稼働状況。対して四季報材料欄に【採用】の見出しで、こんな情報が記されている。「技術系人材の採用競争厳しく、増員停滞。説明会、イベント等を強化し今期70名超の純増狙う」。

 さて、どう向き合うべきか・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る

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