収益好調、ノルウェー政府/視覚福祉財団が大株主に名を連ねるトラスコ中山とは

2024年9月25日 09:00

 トラスコ中山(9830、東証プライム)。工場や屋外作現業向け工具・備品・機器の卸しを展開。その存在を初めて知ったのは、8月9日だった。

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 日経平均株価がブラックマンデー時を上回る4451円という大暴落となった、5日の直後。トラスコ中山の株価も5日には2009円まで値を消していた。そんなタイミングで今12月期の上方修正(&増配)に踏み切ったのである。

 株価は素直に好感し、直後に2333円まで買い直された。がこの時点でトランスコ中山に首を深く突っ込むのは控えた。上方修正が四季報秋号にどう反映されるかを、確認したいと思ったからだ。

 秋号の業績欄の見出しは【好調】。いささか期待を削ぐものではあったが、確かにこの間の収益動向は好調。

 2020年12月期こそコロナ禍に晒され20.1%の営業減益だったが、以降前期までの推移は「17.0%増益、12.8%増益、26.3%増益」。かつ6円減配の30・5円配も、増益を重ね46・50円配へ。そして今期も上方修正を経て「売上高2900億円(期初計画2847億1000万円)、営業利益191億1200万円(186億1000万円)、純益150億3200万円(147億4000万円)、3円増配26円配(24円配)」。

 そして秋号の四季報を眺めていて、興味深い大株主を知った。1つは、「ノルウェー政府(24年6月期末の保有比率1.8%)」。ノルウェー政府は石油・ガス田から得る資源収入を、国民の年金資産を増やすために世界最大級のファンドとしている。その額、170兆円にのぼるという。

 「石炭・石油・ガス関連の投資は年を追うごとに削減し、例えば洋上風力発電所投資の積極化を進めている」とされる。数多くの日本企業にも投資をしている。そんな事実を知った。

 1つは、公益財団法人中山視覚福祉財団(6.5%)。中山哲也CEOは、かんし分娩による視神経損傷で片目の光を失った。「目の不自由な方々の役に立ちたい」という想いを抱き、1997年に財団を設立した。トラスコ中山の株式も保有。その配当収入だけで、目の不自由な人でもハンディを克服して楽しめる催しを展開している。

 トラスコ中山の今期だが上方修正した8月時点で「ファクトリールート/Eビジネスルート/ホームセンター」等、各販売拠点で前期実績を上回っている。Eビジネスルートの伸びが中でも顕著。

 トランスコ中山の本稿作成中の時価は、2400円台半ば。予想税引き後配当利回り1.6%強。PBR0.97倍対応策も執られているという。PER打倒水準値:2600円水準をまずは待ってみたいと思うが・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る

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